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認知症で感情の起伏が激しい夫。子どもたちはビクビク【お悩み相談室】

通りの端にしゃがみ込む男の子のイメージ

若年性認知症コーディネーターの中村益子さんが、介護・支援活動を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.夫(49歳)が1年前に血管性の若年性認知症と診断されました。機嫌よくしているので散歩に誘ったら急に泣き出したり、小学生の子どもたちが「ゲームしよう」と声をかけただけなのに怒り出したり、感情の起伏が激しく困っています。子どもたちが父親の顔色をうかがってビクビクしているようでかわいそうです。(48歳・女性)


A.血管性認知症は、若年性認知症の中で最も多く、感情をコントロールしづらくなるのが特徴です。急に怒ったり泣いたりするので、相談者も最初はとまどったことと思います。お子さんがビクビクしてしまうのも無理はありません。まずは相談者が子どもたちに、「お父さんは病気のせいで急に怒ったり泣いたりしてしまうことがある」ということを教えてあげてください。そして夫が急に怒りだすなどしたときは、お子さんたちに「お父さん、急に怒ってどうしたのかな?」と声をかけてあげてください。お母さんの気持ちを伝えることで、子どもたちは安心すると思います。

認知症の人が急に怒ったり泣いたりするのには、必ず理由があります。例えば認知症の人は、私たちが考える以上に音に敏感です。グループホームで働いていたとき、職員が廊下を歩くときの足音がつらいという方もいました。夫は子どもの声やゲームの音がつらくて、怒ってしまったのかもしれません。

怒ったり泣いたりすることは、何かしらのメッセージを伝えてくれているわけですから、悪いことではないと思います。そのメッセージを受け止めて、理由を考えることが大切です。お子さんも病気を理解できれば、家族の中でメッセージの解釈について、違うアイデアが生まれることもあると思うのです。子どもは豊かな感性をもっています。そのうちお子さんが「お父さんは〇〇が理由で怒っているんじゃない?」と教えてくれることもあるかもしれませんね。

【まとめ】夫の感情の起伏が激しく、子どもたちがビクビクしてかわいそうなときには?

  • 怒ったり泣いたりするのは、認知症という病気が原因であることを子どもたちに説明する
  • 夫が怒ったり泣いたりしたときには、子どもたちに声をかけて安心させる
  • 夫が怒ったり泣いたりする理由を子どもたちと一緒に考える

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