コロナの不安、オンライン化が広げた世界。なかまぁるアンケート300人の回答は?
構成/なかまぁる編集部
新型コロナウィルスの感染拡大は、私たちの生活を大きく変えました。なかでもオンライン化が急速に進むことによって、それが難しい分野がより明確になったり、波にうまく乗れない人たちをどうサポートするかという課題が浮き彫りになったりしました。
なかまぁる編集部は、読者のみなさんがコロナ禍でどのような不安に直面し、オンライン化の流れにどう向き合ったのかを知りたいと、この夏にアンケートを行いました。約300人の方にご協力いただいた結果をご報告します。
ご協力くださった方たちは…
アンケートは6月30日から7月20日までの3週間実施し、292人の回答が集まりました。回答者の96%が女性。年代は55~64歳の方が60%と最も多く、ついで45~54歳、35~44歳という順番でした。全体の84%の方が、「世帯の中に認知症の人がいる」という選択肢を選びました。普段よく利用するメディアは、テレビ(85%)、ネット(80%)が非常に多く、新聞(52%)、ラジオ(34%)が続きました。
漠然とした不安と、健康意識の高まり
コロナ禍による自粛生活では、何をする時間が増えたのでしょうか?
回答者の約7~8割の方が回答として選んだのは、「テレビをみる(81%)」「スマートフォン・携帯電話でネットを見る(77%)」「パソコンやタブレットを見る(74%)」「SNS(Facebook、LINE等)を見る(69%)」でした。「電話をする(64%)」を選んだ方が6割を超えた一方で、「家族と会話をする(50%)」を選んだ方は5割に留まりました。「寝る時間(6%)」が増えた方は、多くなかったようです。
コロナによる意識の変化も質問しました。
「強くなった意識」としてもっとも多く選ばれた選択肢は「日常生活への不安(89%)」
でした。「食事の気遣い(76%)」「運動への意識(75%)」が多かったのはやはり、気軽に外出できない日常の中で、健康への意識が高まったからでしょうか。「金銭面に対する不安(57%)」を選んだ人も6割近くに上りました。
一方、「親の介護への不安」を選んだ人は38%、「家族とのコミュニケーション」は14%にとどまりました。
ネット通販と食事デリバリーが圧倒的人気
新たに買ったり契約したりした情報機器類を尋ねた質問では、パソコン・タブレット(14%)、スマートフォン(14%)、Amazon Echo、Google Homeなどのスマートスピーカー(12%)という回答が上位を占めました。
オンラインサービスでは、Amazonや楽天市場などの通信販売、Uber Eatsや出前館など食事のデリバリーサービスを選んだ方がいずれも70%超と圧倒的に多く、買い物と食事に関するオンラインサービスの浸透がよく分かります。「必要な物が思い浮かんだとき、忘れてしまわないうちに検索、注文ができる(男性、45~54歳)」という声が寄せられました。Amazonプライムビデオ、Netflixなどの動画配信を選んだ方も42%にのぼりました。「見たいときに見られる」「繰り返し見られる」といった点を評価する声が多くみられました。
オンライン化で、世界が広がった。でもトラブルが…
実際にオンラインツールやサービスを使った感想を自由に書く設問では、多くの回答が「移動の費用や時間を節約できる」「時間帯や地域に関係なく交流できる」という利点をあげました。「(新たに)趣味ができた」、「知人が増えた」「学びの機会が増えた」という回答もありました。
逆に「困っていること」としては、情報機器や回線トラブルの苦労や不安を感じるという声が多数。オンライン環境を整えるための出費が痛いという意見とともに、役所内など公的施設で市民が使えるWi-Fiサービスといったインフラ整備を求める回答も寄せられました。
「ネット依存になりつつあり、時間の使い方や目への影響でも困っている」という人もました。また、オンラインサービスに位置情報を提供したり、オンラインイベントで参加者自身や自宅の様子がカメラに映ったりすることから、個人情報への不安を感じるという回答も複数ありました。
次に試してみたいのはオンライン診療
コロナウィルスの収束如何に関わらず、今後もオンライン化の流れは止まらないでしょう。今後使ってみたい(まだ使っていない)サービスを尋ねると、「オンライン診療(38%)」が最も多く選ばれた選択肢でした。一つ前の「使い始めたオンラインサービス」を尋ねる設問では、オンライン診療を選んだ人はわずか2%。現状に何らかの不安や不満がある実態と、今後への期待が大きいことが浮かび上がりました。
次に多く選ばれた選択肢は「オンラインイベント(27%)」「オンライン介護予防21%」「コミュニケーションツール(23%)」でした。認知症カフェのオンライン開催が増えるなど、なかまぁるがウォッチする認知症関連の集まりや催しは急速にオンライン化が進んでいます。ただ、その陰には、「これから参加したい」と思いながら、まだ実現できないでいる人たちも多いことがわかります。
「オンラインでできたら良いなと思うこと」を自由に書く設問では、具体的な回答が多く寄せられました。
・認知症当事者同士のコミュニケーションができるといい
・気軽に介護や医療相談ができると、移動が難しい義母の世話を安心してできる
・在宅高齢者の安否や体調を確認したい
「リモート介護」や「オンラインデイサービス」という要望のほか、「服の試着」「押印」「同窓会」も。さらには「神社へのお参り」といったユニークなものや、合唱やバンドの練習をオンライン化したいという意見もありました。
今後もなかまぁる編集部は、読者のみなさんへのアンケートを通じて、「認知症フレンドリー社会」の進化に必要なことや、解決すべき課題を考えていきます。引き続きご協力をお願いします。
※アンケート結果への感想もお待ちしています。こちら(問い合わせフォーム)からお願いします。
【自由回答から】
■オンラインツールでよかったこと
・LINEのビデオ通話はコロナの影響で初めて知って使いました。子どもが遠くに住むじいちゃん、ばあちゃんと顔を見ながら話せてとても喜んでいます。子どもにとっても祖父母にとってもとてもよかったと思います
・認知症の母と数日過ごさないといけなくなり、AmazonのFire TV Sticksを購入。寅さんやドリフターズを観て、笑って過ごせました
・1人介護世帯なので在宅で買い物が出来るのはありがたい。 身近にはないものでも気軽に発注できて自宅に届けて貰えるのはたすかります
■オンラインでできたら良いなと思うこと
・テレビのように簡単にネットにアクセスできたら、耳が遠く高齢の父と気軽にコミュニケーションがとれる
・家族全員でズーム帰省とか、なかなか会えない人と会えるようにしたい
・安全なオンライン環境で世代を超えた交流ができる場。子どもたちが、お年寄りの得意なこと(折り紙や野菜作りなど)を教わり、自由に質問できる。高齢者と交信したらポイントが増えるなど、ゲームのような仕組みも採り入れて交流を促進する
・患者のスマートフォンに電子処方箋を送り、電子決済で診療代も受け取れるようになれば、クリニック窓口での感染リスクを減らせる
・寝たきりの家族の立場で考えると、美しい映像を観ながらガイド付きで、国内外の観光旅行のようなことができると、気分転換ができると思う
・匂いが伝わったら、リアリティを持つことが出来るかもしれない