「認知症」という見えない名札を彼に付けたのは…介護職の私だった
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
認知症カフェにいる時の岡田さんは、とても自然な顔をしている。「認知症の岡田さん」ではなく「近所の岡田さん」だ。
いや、そうじゃない。岡田さんが介護施設にいる時、認知症という見えない名札をつけていたのは、介護職員の私の方だ。
この町で私はもう一度、あるがままの岡田さんに、出会い直した。
私ごとですが、私には発達障害があります。
もしそれが、見えない名札のようにいつも私に付けられていて、
発達障害が私の全体、と人に受けとられたら嫌だな、と思っていました。
けれどそんな私こそ、人に「見えない名札」を付けていたことに気が付きました。
それが、今回のマンガ、岡田さんの一件でした。
ご自身の症状やハンデを隠すことなく、あるがままいられる認知症カフェで、
認知症当事者の方々は、とても自然に過ごしていらっしゃいます。
その姿は、認知症は本人を覆うものではなく、その人がもつ「ひとつの特性」ということを、私に教えてくれました。
コロナ禍で、参加が難しくなっている所もありますが、
どうぞ皆さまも地域の「認知症カフェ」に一度足を運んで頂けたら、と思います。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》