死の間際さえ人には刺激が必要 日の光と私たちの気持ちを風とともに
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
開かない目に、朝の光が広がるように。
ベッドで1日過ごす、 固くなった肌に、柔らかな風があたるように。
それは最期を迎える人の、尊い時間。
終末期を迎え、1日中ベッドで過ごす方を訪問する時に、
先輩ヘルパーから教えられたことがあります。
「あいさつをしたら、まず窓を開けること」
それは換気の為だけではなく、
寝たきりのご当人に、自然からの刺激を感じて頂く、という目的がありました。
私たち人間は、生きている限り、外からの刺激が絶対に必要です。
それは人とのコミュニケーションだけでなく、五感で感じられるもの全てが、その刺激となります。
とじ込もっていた家から一歩、踏み出し、
光を浴びたり、風を感じる時、
生きる心地がよみがえるのは、どなたにも共通する感覚ではないでしょうか。
終末期は、死を受け入れていくまでの、
大切な締めくくりの時です。
ご本人が希望を伝えられなくなった時、
せめて、私たちに共通する、
あの感覚を提供できたらと思います。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》