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コロナ禍、認知症カフェの“存在意義”問い直した「これから会議」第二弾

最後は恒例のパネリスト全員での記念撮影
最後は恒例のパネリスト全員での記念撮影

新型コロナウイルスの感染拡大により大きな影響を受けた全国の認知症カフェ。今後「新しい日常」にどう向き合っていくことになるのか、カフェ関係者が「新しいコンセンサス」を目指し対話する「認知症カフェこれから会議」では、7月26日(日)に第2回オンラインシンポジウムを開催しました。

介護の現場に携わるパネリストが集結

今回は介護保険事業に深く携わりながらそれぞれカフェを運営してきた5名のパネリストが集まりました。「そぉれdeおしゃべりカフェ」(大阪府枚方市)の大久保真紀さんはグループホームなどを運営する株式会社ウィズ・ケアサポート代表取締役、「オレンジカフェしもさんち」(東京都豊島区)の下地正泰さんは訪問介護事業を行う有限会社マルシモ代表取締役、「きのこカフェ」(東京都千代田区)の柴山延子さんは特別養護老人ホームなどが入る複合施設・ジロール麹町を運営する社会福祉法人・新生寿会職員です。そして「八王子ケアラーズカフェわたぼうし」(東京都八王子市)の中村真理さんと「borderless -with dementia-」(愛知県名古屋市からネットで活動)の鬼頭史樹さんは地域包括支援センターで責任ある職位についています。(記事後段にパネリストのプロフィール※)

カフェ休止が続く近況を報告

シンポジウムでは初めにそれぞれの近況が報告されました。
緊急事態宣言下でカフェを休止し再開していないと答えたのが大久保さん、下地さん、柴山さん。また今年3月まで名古屋市認知症相談支援センター(名古屋市の認知症カフェ施策を所管)に在籍していた鬼頭さんは、現在も市内の多くのカフェが休止していると語りました。
一方、カフェを休止しなかったのが中村さんの「わたぼうし」でした。行政の指示によりイベントが開けなくなったり、飲み物が出せなくなったり(現在は再開)しましたが、包括と同じ建物にある常設型カフェを閉めることなく、ふと訪れる介護者などの相談に耳を傾けていたそうです。
ただしカフェ休止中と語った大久保さんと下地さんですが、それぞれ本業の介護事業を通じて、あるいはケアマネジャーなどほかの専門職を介して、カフェ常連客とのコミュニケーションはとれていたそうです。また柴山さんはご近所さんとして常連客と朝のあいさつを交わし、ランチを共にするといったこともあったそうです。
元の「カフェ」という形では継続していなくても、そこで生まれたつながりは失われず保たれていたといえるかもしれません。

「足りない、いつも足りない」専門職の思いが共感集める

この日のハイライトは「そもそも介護職・介護事業者にとって、インフォーマル活動である認知症カフェとは何だったのか?」という問いに対し中村さんが答えた次の言葉だったでしょう。
「専門職のできることは本当に限られている。介護保険の資源を提供したり行政の独自事業を紹介したりすることが本当に介護者・当事者のためになっているのかというと、それだけでは足りない。いつも足りない。」

そして中村さんは専門職であるがゆえにその足りない部分をやっていきたいと述べ、常設型カフェの役割として誰かの体験がほかの誰かの支えになるような機会を提供したい、と語りました。

これにはリアルタイム配信を視聴する人たちからも「中村さんのお話に勇気をいただきました」「格好良すぎます」などと書き込みがあり、多くの共感を集めたようです。

また、コロナ禍という状況で独自にオンラインの取り組みを加速させた鬼頭さんは、今後研修などがe-ラーニング化されると専門職の本当の学びはカフェのような対面の場にこそあることになるだろうとカフェの価値について語りました。

「深呼吸できないような……」介護職の背負うもの

ただしそれぞれの介護現場で利用者・入居者の安全に責任を有するパネリストからは、決してカフェの再開を急がないという考えが示されました。「コロナ対策はまだ何が正解かわからない」という大久保さんや、「ずっと深呼吸ができていないような息苦しさ」という柴山さんの発言は警戒と緊張を緩めない介護職として象徴的であり、また「世間」という表現を使い感染者の多い地域に立地することの難しさを率直に語る下地さんの誠実な姿勢も印象に残りました。

5月25日に緊急事態宣言が解除され、6月半ばまでは新規感染者も減り続けていたため、第1回シンポジウムはカフェ再開を前向きに語りやすい雰囲気がありました。しかし現在は都市部から再び感染者が増え始め、緊張が高まっています。もしかしたらカフェにとっては先月よりも逆風が強まっているかもしれません。状況は刻一刻と変化しています。

このような状況においてはカフェをこれまで通り開催できない「悔しさ」を共有できたことを成果とすべきでしょう。このコンセンサスを出発点とし、それぞれが自らの環境と資源を踏まえ、できることからトライしていくことになります。
このほかにも様々なテーマが語られた第2回「認知症カフェこれから会議」オンラインシンポジウムの様子は、下記Facebookグループでいつでも録画視聴できます。ぜひ多くの方にご覧いただきたいと思います。

フェイスブック「【認知症カフェ】これから会議withなかまぁる」グループページ
https://www.facebook.com/groups/2547079192271314/

大久保 真紀 さん/そぉれdeおしゃべりカフェ(大阪府枚方市)

㈱ウィズ・ケアサポート代表取締役。大阪府枚方市で、グループホーム、訪問介護、居宅介護支援、デイサービス、介護タクシー等の事業を行う。カフェは2016年開始。事業所名「そぉれ」とはイタリア語で「太陽」。暖かな場所を目指し、はじめの第1歩を踏み出した私たちへのエールのような言葉。

下地 正泰さん/しもさんち(東京都豊島区)

「有限会社マルシモ」代表取締役。東京都豊島区を拠点に、創業から18年、24時間訪問介護事業を手掛ける。認知症のケアをより一層オープン化することで、家族らの悩みに対してプロとして丁寧に接することが出来ると考え、認知症カフェを4年前にオープン。

柴山 延子さん/きのこカフェ(東京都千代田区)

オープン時からの「きのこカフェ」スタッフ。認知症医療・介護のパイオニア「きのこグループ」(岡山・東京)を法人母体とする(社福)新生寿会職員。フリーアナウンサーとして介護系ポッドキャストも配信中。

中村 真理さんP/八王子ケアラーズカフェわたぼうし(東京都八王子市)

八王子市高齢者あんしん相談センター子安・センター長。2015年開設の八王子ケアラーズカフェわたぼうしは(一財)八王子福祉会が市の補助事業として運営する常設カフェ。包括や家族会、専門職、様々な事業体とのつながりがポイント。

鬼頭 史樹さん/borderless -with dementia- (愛知県名古屋市)

認知症当事者の経験を起点に、社会の境界線について考えるコミュニティ「borderless-with dementia-」メンバー。当事者や家族がつどい、活動が広がる場づくり、ともに学び合う場づくりをおこなっている。本業は地域包括支援センター職員。

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