認知症とともにあるウェブメディア

介護施設で、あるある探検隊♪

今こそ必要 心の距離の縮め方 あるある探検隊の活動報告45

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ、レギュラーの松本くんと西川くんは、いま全国の介護施設をまわってお年寄りたちを笑顔にする活動をしています。ところがここ数カ月、世界的に蔓延する新型コロナウイルスの影響で、思うように活動ができません。そんな中、在宅介護を行う家族をサポートするイベントに、オンラインで登場するチャンスが!
介護イベントにはこれまでも数多く参加してきたレギュラーの2人ですが、完全オンラインは初めての経験。介護レクリエーションの新たな可能性を感じさせる、そのイベントの模様をお伝えします。

オンラインイベント「今日からできる! 優しさを伝えるケア技法」に参加したレギュラーのお二人
写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

6月に行われた初めてのオンライン介護イベントで、フランス生まれのケア技法「ユマニチュード」を学んだレギュラーの2人。前回紹介した「見る」と並んで、ユマニチュードの「ケアの4つの柱」のひとつとして重要なのが、「話す」である。

「今日からできる! 優しさを伝えるケア技法」と題されたこのオンラインイベントは、在宅介護をしている人たちをサポートするために開かれた。東京にいるレギュラーの2人と、大阪にいる後輩芸人コンビ「span!(スパン)」を中継で結び、ゲームを通してユマニチュードの具体的なやり方を学ぼうという試みだ(実際のYouTube映像はこちら)。

「私たちが言語でコミュニケーションをとろうとするとき、ある特徴が表れます。それは、話す内容によって無意識に話し方を変えているということです」

ユマニチュードの認定インストラクターが、こう説明する。
「良い」内容を話すときは、声のトーンは自然とゆっくりと、穏やかに、抑揚をつけた話し方になる。逆に、「良くない」内容を話すときは、声のトーンが自然と大きく、強く、そして途切れ途切れになる特徴があるという。

「話し方を意識することで相手に伝わる印象が変わります。穏やかにゆっくり歌うように話すと、心地よく聞こえます。相手を認めるいい言葉を選ぶと、自然とこの話し方になるのです」

こうした特徴を踏まえたレクリエーションが、「ポジティブ・ワード・スパークリング」ゲームだ。

これは相手を30秒間、とにかく“褒めちぎる”というゲーム。やり方は簡単で、まず2人で向き合って、「話し役」と「聞き役」を決める。話し役は、相手が聞いたら気分がよくなる、喜ぶような言葉を話しかける。前回紹介した「見る」のノウハウも同時に使うと、さらに効果的だという。

実践するのは大阪のスパンの2人。話し役が水本健一、聞き役がマコトだ。
「なかなかコンビでやるのは恥ずかしいけどな……」と心配する東京の松本くんを尻目に、スタートの合図でお互いに見つめ合いながら、こんな褒め言葉を“スパークリング”させた。

「マコト、めちゃめちゃ男前やな。コンビ組んでくれて、ホントにありがとう。漫才とかも、マコトとやるとすごく楽しいし。50歳、60歳になっても、これからもよろしくな。いや、顔も男前やし、かわいらしい顔してるな……」

意外に長い30秒を終えたところで、松本くんからツッコミが飛ぶ。
「(透明シート越しに)刑務所の面会みたいになってたけど(笑)。マコトの外見ばかり褒めるっていうのは、どうなの?」

「いやいや、ソーシャル・ディスタンスがなかったら抱きしめてましたよ!」
と自分もうっとり顔の水本くんに、認定インストラクターの評価も上々。

「見ているこちらの心もホッとするような、嬉しくなるような、あたたかい感じがあって、すごくよかったと思います」

もともとスパンの2人が介護関連の活動を始めたのは、折り紙講師の資格を持つマコトが、施設で折り紙によるレクリエーションをやったことがきっかけ。その後、水本くんもレクリエーション介護士2級の資格を取り、これから本格的に取り組もうというところだ。

そんなマコトが相方に褒められまくった後、おもむろにカメラに見せたのは、ハート形の折り紙作品。会場に、ほっこりとした空気が流れる。

「頼むから僕らの仕事、取らんでや!」
と真顔で心配する西川くんなのだった。

松本くん 前回、正面からゆっくりと目を合わせながら近づいていく「見る」の方法をマスターしたから、今回は、そこからどうコミュニケーションを取ればいいのか学ぶ「話す」の番や。

西川くん ユマニチュードは、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱からなるんやけど、確かにそれを意識することで、お互いにポジティブな感情が生まれる感じがするな。

松本くん 今回のイベントで大阪のスパンがやったのが、褒めまくりゲーム。ポジティブな言葉で相手を褒めてみると関係が良くなるっていう法則は、家族とか、部下とか、いろんな関係で言われることやね。

西川くん 夫婦でも、とりあえず褒め倒しとこ、みたいな話はよく聞くもんな。愛があっても口に出さなくては意味がない。逆に口に出せば、言い方も優しくなるし、相手にも通じるってことなんやろうね。

松本くん スパンのやりとりを見て、よくわかったわ。芸人だから、褒めているようで褒めていない“ネタ半分”の部分もあるけど、そんなふざけた褒め言葉でさえ、言い方がやさしくなるもんな。

西川くん 僕らも、施設で利用者さんに話しかけるときは基本コレやね。介護度が高い利用者さんで、話の内容を理解できなくても、ポジティブな言葉をかけると、それだけで耳を傾けてくれて、距離が縮まる感じがする。これって、知らず知らずのうちに言い方が変わるからだったんやな……。

松本くん 僕らが施設の介護レクで、利用者さんのことを「アニキ」って呼んだりするのも、距離を少しでも近づけたいという思いからやからね。これも、ユマニチュードの「ポジティブな言葉」と一緒や。ただし、今回のスパンみたいにコンビ間とか、家族間で褒め言葉のスパークリングをするのは、ゲームとわかっていても照れるやろうな。

西川くん ネタならいいけど、リアルとなると、どう考えても恥ずかしいやろ!

松本くん その意味では、施設の利用者さんとスタッフさん、という関係性くらいのほうが実践しやすいかもな。

西川くん 逆にいまの時代、ユマニチュードの「触れる」ことこそ家族向きかもしれん。ユマニチュードでは、介護する人とされる人の間の距離を、腕にすっぽり入るくらいの「20センチ」と推奨していたけど、いまはソーシャル・ディスタンスで施設ではなかなかできひん。

松本くん たしかに、在宅介護をしている家族ならできるもんな。介護にとって重要なスキンシップは、どんどん活用してほしいよね。僕らも施設の介護レクでは、利用者さんたちの近くに降りていって肩に触れるなんてことはよくあった。

西川くん ハイタッチもよくやったな。でも、これも今後は距離感が難しくなるな。

松本くん イベントで見たユマニチュードの紹介ビデオでも、認知機能の低下から攻撃的になっていたおじいちゃんが、手をつなぐようにしたら穏やかになった、というのがあったやろ。やっぱり介護に触れ合いは不可欠。ウィズコロナの時代だからこそ、これからどういう触れ合い方ができるのか意識しなくちゃいけないな。

西川くん どんなに大変な状況でも笑顔を生み出すにはどうしたらいいのか。優しさや安心感を伝えるには何をしたらいいのか。そのための具体的な技術がユマニチュードってことや。施設にしろ、在宅介護にしろ、そのなかでやりやすい形を採用していけばええんじゃないかな。

松本くん 今回のイベントでは、家で簡単にできるケア技術を動画などで学べるアプリ「CareWiz(ケアウィズ)」の紹介もしたけど、僕らもこういうのでもっと技術を学んで、孤独に在宅介護をしている家族の人たちに向けて、なにかできたらええな。

西川くん 松本くん、それはたしかにアルな!

「コロナ禍を生きぬく~認知症とともに」 の一覧へ

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この連載について

この特集について

認知症とともにあるウェブメディア