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介護施設で、あるある探検隊♪

「いつもニコニコ」はユマニチュードだった あるある探検隊の活動報告44

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ、レギュラーの松本くんと西川くんは、いま全国の介護施設をまわってお年寄りたちを笑顔にする活動をしています。ところがここ数カ月、世界的に蔓延する新型コロナウイルスの影響で、思うように活動ができません。そんな中、在宅介護を行う家族をサポートするイベントに、オンラインで登場するチャンスが!
介護イベントにはこれまでも数多く参加してきたレギュラーの2人ですが、完全オンラインは初めての経験。介護レクリエーションの新たな可能性を感じさせる、そのイベントの模様をお伝えします。

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レギュラーが参加した「今日からできる! 優しさを伝えるケア技法」のトップ画面。オンラインイベントはこの画面から始まりました(YouTubeより)

6月に行われた初めてのオンライン介護イベントでレギュラーの2人が体験したのは、「ユマニチュード」というフランス生まれのケア技法。フランスの2人の専門家が介護の現場で編み出したケア・コミュニケーションで、「見る」「話す」「触れる」「立つ」という「ケアの4つの柱」を正しく実践することで、ケアをする側と受ける側が良い関係を築き、ストレスのない介護を実現しようというものだ。ユマニチュードとは、「人間らしさを取り戻す」という意味のフランス語の造語だという。

「今日からできる! 優しさを伝えるケア技法」と題された今回のイベントは、在宅介護をしている人たちにこのユマニチュードを知ってもらい、日々の介護に役立ててもらおうという試みだ。当日は、東京にいるレギュラーの2人と、大阪にいる後輩芸人コンビ「span!(スパン)」を中継で結び、ユマニチュードの認定インストラクターの説明を受けながら、ゲームを通して具体的なやり方を学んだ(実際のYouTube映像はこちら)。

まず、最初のゲームは、ユマニチュードの「見る」を体感する「心のジェスチャー」ゲームだ。「正直さ」「嘘・隠し事」「見下し」「優しさ」の4つのお題から一つを選んで、視線だけで感情を相手に伝える――というゲームなのだが、これがなかなか難しい。

出題者は西川くん。薄目を開いた微妙な顔をしているが、果たしてこの表情が示すのは……。
「現実逃避!」
「そんなの4つのうちにないやん!」
「あ、わかった、西川くんがこの顔よくやんやけど、隠し事とか嘘をついているときや」
「当たり! よくわかったなあ」

このゲームは、家庭で向かい合って遊んでもらいながら、お互いに目を合わせることに慣れてもらうというのが狙いだという。

続いて、「スマイルコンタクトゲーム」。
2人セットで、まず1人が両手の手のひらを丸めて手筒をつくり、双眼鏡のように両目に当てる。そこに、もう1人がゆっくり近づいて、手筒を通して目が合った瞬間に2人で決めた合言葉を言う、というゲームである。
認知機能が低下した高齢者は、視界が狭まって横が見にくくなっているため、この手筒で狭い視野の疑似体験をする、というわけだ。

「いきなり横から近づいたり、話しかけたりすると驚かせてしまいます。だから、少し離れたところから相手の正面に立ち、目をしっかり見て、ニッコリ笑いながらゆっくり近づいていくことが重要です」

という認定インストラクターの説明に、松本くんが納得顔でこう言うのだった。

「正直、コンビで目を合わせるのは恥ずかしいけど、これならなんの躊躇もなく合わせられましたわ。西川くんの泣きホクロ、久しぶりに見ました!」

さて、目を合わせることに慣れてきたところで、仕上げのゲームへ。

「まずは無表情で5秒間、目を合わせます。そのあと、一方がとびきりの笑顔で笑いかけます。介護の現場では、たいへんなことがあると、どうしても笑顔が減ってしまう。でも意識して笑いかけることで、相手もつい笑ってしまうということを実感するゲームです」

そんなインストラクターの説明のあと、実践するのは松本くんとスパンのマコト。

「1、2、3……」
まじめな顔を続ける松本くんに、マコトは5秒を待たずに思わず大爆笑。

「マコっちゃん、まだ松本くんが笑顔をつくる前から爆笑するって、失礼やぞ(笑)」
「すんません。松本さんの顔がおもしろくて……」
「これは会社と契約交渉するときの顔や!」

これまでの施設での介護レクリエーションでも、知らず知らずのうちに、目線を合わせて笑いかけることを実践してきたレギュラーの2人。利用者たちを笑顔にするための秘訣を、松本くんがこう語るのだった。

「僕らは、相手が笑うまで目をそらさない!というスタイルですから」

松本くん 僕らもふだんから笑顔を心掛けているけど、人に笑いかけられると、やっぱり釣られて笑顔になるというのが体感できるゲームやったね。

西川くん 大変なときこそ、とびきりの笑顔でニッコリ笑いかけることが解決策の一つになるというのは、ほんまにその通りや。

松本くん 今回のイベントで、スパンの2人は「これまでそういうことを意識してやっていなかったから勉強になった」と言ってたけど、西川くんは施設の介護レクリエーションでも、ずいぶん前から客席の利用者さんに近づいて心を開くテクを磨いていたよね。

西川くん そうそう。たとえば、テレビ的には後ろや横からトントンと肩を叩いて、自分は一歩引いてマイクを差し出すのが正解なんだけど、介護施設でこれをやると利用者さんを驚かせてしまうからな。だから正面から近づいて、マイクを差し出すようにしてみたってわけ。そうやって利用者さんの近くに寄って、身体に触れながら質問すると、ちゃんと答えを返してくれることに気がついた。

松本くん 近くで目を見ながら、感情を読みとる……とか、ユマニチュードのノウハウは、僕らも知らず知らずにやってきたことが少なくないよね。

西川くん そうやね。施設でゲームをやるときも、微笑みながらやると、やっぱり笑ってくれるもんな。席に座っている利用者さんに話しかけるときは、床に膝をついて目線を合わせることも大切や。まあ、なかなか笑ってくれないこともあるんで、ムリやり「笑ってや」という強い気持ちを込めて微笑みかけてるんやけどね(笑)。

松本くん この、とにかく笑いかけるというテクはレギュラーの原点に近いというか、脈々と僕らに流れてるものやね。お手本は、あの大御所女性漫才コンビの今いくよ・くるよ師匠。あの2人がニコニコしながら出てくると、それだけでみんな笑顔になるもんな。

西川くん 同じ京都出身やし、ラジオも一緒に1年やらせてもらって、いろいろ勉強させてもらったな。もう芸歴21年になるけど、いくよくるよ師匠に学んだ“いつもニコニコ”という僕らの芸風は、ずっとやってきたこと。相手が笑っていないときも、こちらから笑いかけていく。まさに「誘い笑い」狙いや(笑)。

松本くん 僕らが若手のころは、どちらかというとクールな漫才が主流で、僕らみたいなニコニコスタイルはいなかったもんな。あのとき、自分らのポジションはここやな、と思った。

西川くん 僕らがお笑いを学んだNSC(吉本総合芸能学院)でも、「笑いながらツッコむな」と教えられたけど、結局、僕らは「おもしろいこと言ってるんやから、笑いながらでええんやん?」ていうスタイルにしたもんな。

松本くん 笑顔って伝染するからな。結果、僕らは若いころからユマニチュードとつながってるっていうことや(笑)。

西川くん いま思ったんやけど、日本で最初にユマニチュードのノウハウを発明したのは、大阪のオバチャンかも知れんな。「あんたコレ、高かったねん! だはは!」とか笑いながら言われると、ちっともおもしろくなくても、なぜか笑ってしまうやろ。あれや。

松本くん 芸人からしたら、ズルい手なんやけどな(笑)。

西川くん いやいや、松本くんが言っていた「相手が笑うまで目をそらすな!」っていう言葉、あれは名言やで。心のノートにメモしたわ。

松本くん 今回のイベントで、東京―大阪間約400キロの距離があっても、それが通用することが実証されたもんな。どんなに離れていても、オンラインで心は通じるってことや。

西川くん 松本くん、それはたしかにアルな!

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