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今日は晴天、ぼけ日和

理性から感性へ 季節が心を呼び覚まし 言葉が介護を助ける魔法になる

《介護施設で働く漫画家、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

施設の外の銀杏並木が黄金だ

見上げる先に、どなたも息をのむ。枯れたように輝く、晩秋の色。

百才近い画伯たちは描く、銀杏の青

年を重ねるごとに感性は、年々、柔らかく育まれていく。シワが刻まれたような銀杏の葉は、心をうつす色合いに染められる。

天が透ける、青

秋の空はどこまでも高く、皆さまの心を透明に洗ってゆく。

認知症とは、今まで慣れ親しんできた「理性の世界」から、新たに「感性の世界」へ移行していくこと。

……以前、そんな話を聞いたことがあります。

だから例えば、入浴を拒む、認知症の高齢の方への声かけは、

「清潔を保つために、入浴しましょうか?」と理性に訴えるのではなく、

「あったかい湯船で、ゆっくり休みましょうか?」と感性に響くようにお伝えします。

すると、実際にスムーズに入浴して頂けることが多いのです。


特に私は、認知症の方のアート表現から、その感性の豊かさに圧倒されます。

そして皆さまの瑞々しい感性を、より、呼び覚ましてくれるのが「季節」なのです。

四季と共に暮らしてきた日本人にとって、
季節は、私たちの感性の奥深くに届くようです。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

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