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うつ病と言われたけれど認知症では?セカンドオピニオンは?専門家が回答

悩める男性のイメージ

若年性認知症の支援活動に関わってきた高橋惠美子さんが、若年性認知症の様々な悩みに答えます。

Q.夫(45歳)が3カ月前にうつ病と診断され、休職しています。食欲がなく、好きだったゲームすらせずにボーっとしているので最初は診断に納得していたのですが、同じことを何度も聞いてきたり、同じものを買ってきたりするので、認知症ではないかと疑っています。ほかの病院で診てもらいたいと思っているのですが、夫は自分はうつ病だと信じ切っているので言い出しにくいです。(43歳・女性)

A.まず症状についてですが、認知症の症状の一つにうつ症状があったり、うつ病によって認知症のような症状が出たりすることがあると言われています。また、うつ病のほか、更年期障害と診断されるなど、若年性認知症は診断されるまでに時間がかかることもあります。50代で若年性認知症を発症した夫の主治医は、「高齢でも認知症とうつ病の判別は難しく、40代だとなおさら、専門医でないと診断は難しいケースもある」と話していました。認知症となるとご家族の心構えや今後の対応、本人の復職のタイミングなども変わってくるので、なるべく早く正しい診断を受けたほうがいいですね。

夫に言い出しにくいとのことですが、まずは相談者が、現在診てもらっている医師に相談してはいかがでしょうか? 医師が認知症を疑えば、その病院で詳しい検査をしたり、ほかの病院の認知症専門医などを紹介したりといった対応になると思いますが、いずれにしても医師から直接本人に伝えてもらうのがいいですね。医師からの言葉なら、本人も素直に聞き入れやすいと思います。相談する際は、なるべく具体的に症状を説明してください。「同じことを1日に何回くらい言うのか」「同じものをどれくらい買ってくるのか」など、具体的なほど医師も診断しやすいと思います。普段から夫におかしな点があれば、メモしておくといいでしょう。今の段階で「認知症ではないか」といったことは本人に伝えなくてもいいのではないでしょうか。

うつ病の多くは治療によって治る病気です。一方、認知症は治療によって進行を遅らせたり症状を和らげたりすることはできますが、現在のところ治らない病気です。うつ病だと信じ切っていたのに実は若年性認知症だったとわかれば、本人は相当ショックを受けると思います。診断されたからといって必ずしもすぐに告知しなければならないということはありませんので、告知のタイミングについては、本人の性格を踏まえて医師と家族が相談し、慎重に検討することをおすすめします。

【まとめ】認知症が疑われるのにうつ病と診断されたときは?

  • 家族ができるだけ具体的な症状を主治医に伝える
  • 詳しい検査を受けるように、主治医から本人に伝えてもらう
  • 若年性認知症だった場合、告知のタイミングは慎重に

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