独身で認知症の息子 まだ若いですが将来が不安 専門家がアドバイス
構成/中寺暁子
若年性認知症の支援活動に関わってきた高橋惠美子さんが、若年性認知症の様々な悩みに答えます。
Q. 同居している独身の息子(44歳)が若年性認知症と診断されました。仕事は何とか続けられていますが、私も夫も高齢なので、いつどうなるかわからず、息子の将来が不安で仕方ありません。(75歳・女性)
A.不安なお気持ち、よくわかります。息子さんは仕事を続けられているということなので、現在はそれほど進行していないと思いますが、私が接してきた範囲では若年性認知症の進行は速い傾向があり、急に悪化するような経過をたどる人も少なくありません。このため、早めに備えておくことが大切だと思います。
現在、息子さんは仕事をされているので社会とのつながりがありますが、いずれ退職しなければならないときがくるかもしれません。そのときに社会との接点が絶たれないようにしておくことが、息子さんやご家族にとってとても重要なことです。今のうちに近所の人たちや、若年性認知症の支援団体のほか、地元の自治体の認知症相談窓口や地域包括支援センターなどと、つながりをもっておくことをおすすめします。地域包括支援センターは高齢者の介護予防や介護などに関する相談窓口ですが、若年性認知症に関する相談にも対応してくれます。65歳未満であっても若年性認知症は介護保険サービスの対象となります。
つながりはできるだけ多いほうが、息子さんが一人になってしまったときに本当に必要なサポートをしてくれるようなところにたどり着ける可能性も高くなるのではないでしょうか。
ほかに今から準備しておけることとしては、成年後見制度の利用です。認知症のように判断能力が不十分な人のために、後見人が本人にかわって財産管理をしたり、介護サービスなどの契約を結んだりする制度です。成年後見制度は、すでに判断能力が衰えた人が利用する「法定後見」と判断能力が衰える前に将来に備えて誰にどのように支援してもらうかを決めておく「任意後見」があります。後見人には、弁護士や司法書士など専門職、親族のほかNPOなどの法人がなることもあります。財産管理だけではなく、息子さんの生活面での相談にものってくれるような後見人だといいですね。任意後見だと、事前に後見人を決めておけるので、安心かもしれません。
【まとめ】若年性認知症で独身の息子の将来が不安なときは?
- できるだけ多くのつながりをもっておく
- 成年後見制度の利用を検討する