認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

母娘ともずくの三角関係は汁物で解決 認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。お通じをよくし、食事から水分もとれる、大活躍のもずくです。

※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません

もずくとにらのクイックみそ汁

歯磨きのとき、母に「イーってして前歯を見せて」と言うと、「あー」と口を縦に開ける。
「右向きに回って」と言うとウロウロする。じゃんけんのチョキが指3本になる。脳の指令と行動がうまくつながらないのだろう。
その頃、「エール」というフランス映画を観たばかりだった。聾者(ろうしゃ)の家族の中で1人だけ耳が聞こえる長女が歌のコンクールを目指す物語だ。ふと脳トレ感覚で母と手話ができないかと思い『日本の手話・形で覚える手話入門』という本を試しに買ってみた。
本を見ながら「おはよう」「こんにちは」「ありがとう」「おやすみ」をやってみた。母の手も、ゆっくりだが同じように動く。
「なんという手話が知りたい?」と聞いたら、「結婚してください」だと答える。結婚という手話がわからなかったので、「私はあなたのことが好きです」という手話を調べて、母に繰り返し教えた。食卓に向かい合って、母に「私はあなたのことが好きです」と何回も言うことになるとは。母も私の真似をしてくれるので、思いがけず愛の告白を受けた。
そんな私が愛してやまなかった食材は「もずく」。お通じをよくし、だし汁やスープと合わせれば食事から水分もとれるので、母の介護中に重宝した。
夏は冷たく(ツルツルもずくとトマト)冬は温かいみそ汁の具としても活躍してくれた。

もずくとにらのクイックみそ汁

食物繊維がとれるもずくは、便秘を防ぐためのお助け食品です。いつも冷蔵庫に常備しておき、ヘルパーさんにも使ってもらえるようにしていました。にらは短時間で火が通るので使いやすい野菜です。

材料 2人分

生もずく 80g
にら 3本
みそ 大さじ1
水 320ml
顆粒和風だし 1/2袋(2.5g)

作り方

  1. にらは長さ3cmに切る
  2. 鍋に水と顆粒だしを入れて沸かし、みそを加えて溶く
  3. もずくと1のにらを加えてひと煮立ちしたら火を止める

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