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認知症になった 外出は怖いけど引きこもると進行しそう 専門家が回答

若年性認知症の女性

若年性認知症の支援活動に関わってきた高橋惠美子さんが、若年性認知症の様々な悩みに答えます。

Q. 1年前に若年性認知症と診断されました。近所に買い物に出かけて道に迷ってしまってから、外に出ることが怖くなってしまいました。家族は日中いないので、ずっと一人で家の中で過ごしています。このまま家に引きこもっていたら症状も進行しそうで不安です。(58歳・女性)

A.これまで若年性認知症の当事者とお付き合いしてきた中で、たとえ症状が進んだとしても、当事者が外出を楽しく感じることは変わらないと実感しています。ご心配されているように、ずっと家に引きこもっているのは心身ともにいい状態とは言えないと思いますので、なるべく外出の機会を作れるといいですね。とはいえ、道に迷ったとのことなので無防備に外出するよりも、誰かに付き添ってもらえると安心です。日中、家にいない家族が解決できることは限界がありますので、周囲の支援や公的サービスを組み合わせながら対応することが大切です。

近所の友人や家族会のメンバーなど病気を理解してくれている人が周囲にいる場合は、同行してもらえるかどうか相談してみてはいかがでしょうか。症状が初期の段階であれば、相手にとってもそれほど負担にならないと思います。申し訳ないと考えずに気軽に頼んでみてください。

公的な支援サービスの活用についても検討してみましょう。認知症の人が受けられる介護保険サービスだけでなく、障がい者の福祉サービスも受けられる場合があります。自治体ごとに異なりますが移動支援事業のサービスがあり、一人で外出するのが困難な方に必要なサポートや介助を行うガイドヘルパーが、冠婚葬祭や投票、文化的活動などの社会生活を送る上で欠かすことのできない外出や、イベントへの参加や観劇など、余暇活動などによる社会参加のための外出を支援してくれます。また症状が進行した場合には、介護保険の送迎付きのデイサービスの利用も有力な選択肢の一つとなります。詳細はお住まいの自治体に設置されている認知症相談窓口などに相談してみてください。

誰にも同行を頼めず、一人で外出しなければならないときは、GPSを携帯するのはもちろん、迷ったときのことを想定して備えておくと安心です。帰ってこない本人を心配して、家族が警察に連絡するケースもあるかもしれませんが、その場合は外出時の服装を必ず聞かれます。その日の服装は家族でも覚えていないことがあるので、たとえば、外出の際に服装の写真を撮ってもらったり、家に誰もいない場合は写真を撮って家族にメールしておいたりできるといいですね。

私が関わっている若年性認知症の家族会では年に数回一緒に旅行に出かけています。当日はもちろん、行く前からみんな笑顔であふれています。そんな、周囲の助けを得られる活動に参加することも考えてみてはいかがでしょうか。

【まとめ】外出に不安があるときには?

  • 病気を理解してくれている知り合いに同行してもらう
  • 移動支援サービスを利用したり送迎つきのデイサービスに通う
  • 家族会に参加する

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