母に服薬勧めるコツはオレンジ色の「元気玉」認知症の母が喜ぶ毎日ごはん
撮影/百井謙子
フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。太陽の恵みをたっぷり浴びたオレンジ。一口食べれば、元気がみなぎります。
※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません
母はときどき薬を飲むのを嫌がった。自分は元気だと思っているのだから無理もない。「食後の薬を飲んで」と言うと、「薬なんていりませんっ」と手のひらに載せた薬をポイっと投げてしまうこともあるので、できるだけ薬という言葉を使わないで済むように知恵をしぼった。
オレンジシャーベットのような色のビタミン剤を「元気玉」と呼ぶことにした。「元気玉を飲んでおくと、もっともっと元気になるよ」と、ビタミン剤を指で大切そうにつまんで、母に見せてから最初に飲んでもらう。その後はわんこそばのリズムで優先順位の高い薬を手渡し、にが〜い漢方薬は締めに持ってくる。文句を言われても漢方薬までたどり着けばこっちのもの。
毎日のように「元気玉」と呼んでいたら、一包化された薬の袋を見て「それ、元気玉でしょ?」と、母から言う日もあり、思わず笑ってしまった。
老人ホームに入居が決まった際のヒアリングでも、オレンジのビタミン剤は「元気玉」と呼んでもらうようにお願いした。
母の介護の思い出を、色で表すなら「元気玉」のオレンジだ。
つぶつぶオレンジゼリー
ビタミンカラーで、見るだけで元気が出てくるオレンジ色のゼリーです。高齢になるとかためのゼリーは食べづらいこともあるので、やわらかい食感にしました。果肉を加え、つぶつぶ感も楽しみます。
材料 2人分
オレンジ 2個
はちみつ 大さじ1
粉ゼラチン 4g
水 大さじ2
フレッシュミント(あれば) 適宜
作り方
- 粉ゼラチンを水でふやかし、電子レンジで約20秒加熱して溶かす
- オレンジは皮をむき、房から果肉をとり出し、1個は細かく刻み、1個は果汁をしぼる
- ボウルにオレンジと果汁、はちみつを入れて混ぜ、1のゼラチンを加えてよく混ぜる。ボウルの底を氷に当てながらとろみがつくまでかき混ぜる
- グラスに流し入れ、冷蔵庫で1時間以上冷やし固め、あればミントをのせる