認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

行ったり来たり 卵を炒めるように言葉も反復 認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。反復、それは母の美学。

※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません

牡蠣とほうれん草のスクランブルエッグ

母はデイサービスでの入浴を嫌がるようになり、私が家で風呂に入れることになった。書けばそれだけのことなのだが、服を脱ぎ、体や髪がびしょ濡れになり、泡だらけにされる入浴は母にとっては恐怖の連続。大声をあげて抵抗される日も少なくなかった。
ある日「体が軽くなったわ、ありがとう」と言って喜んでくれて安堵した。デイサービスのお迎えのスタッフに、「朝風呂に入ったので、体が軽くなったそうです」と伝えると、おそらくこの言葉にどう返したらいいのか戸惑われたのだろう。「朝風呂で目が覚めましたか?」と母に聞いた。この一言が、母の怒りのスイッチを押した。
「寝ぼけてなんていないわよ!」
私が大学に通っていたころ、現代日本文学のゼミで「老人の会話は、反復する会話で成り立っている」と教授が解説してくれたことを思い出した。
母の場合も、デイサービスのお迎えなど短い時間であれば、「朝風呂に入られたんですね」あるいは「体が軽くなったんですね」と繰り返せば十分だったのかもしれない。
朝食で繰り返し作っていたスクランブルエッグ(目玉焼きには骨がある)。その冬バージョンを紹介する。

牡蠣とほうれん草のスクランブルエッグ

牡蠣のうまみとバターの風味でリッチな味わいのスクランブルエッグです。牡蠣は加熱用を使いましたが、保存の効く冷凍品でもOK。ほうれん草の代わりにブロッコリーでもおいしくできます。仕上げのかたさは好みですが、半熟のうちに盛ると、しっとり口当たりよくいただけます。

材料 2人分

卵 3個
むき身牡蠣(加熱用) 4個
ほうれん草 5枚(50g)
しょうゆ 少々
バター 小さじ1
塩 少々

作り方

  1. 牡蠣はざるに入れて10秒ほど流水で洗い流し、キッチンペーパーでふく。ほうれん草は長さ3cmに切る
  2. ボウルに卵を溶きほぐし、しょうゆを入れる
  3. フライパンを弱火にかけ、バターを溶かし、牡蠣を中火で炒めて塩をふる。火が通ったらほうれん草を加えてしんなりするまで炒める
  4. 2の卵液を流し入れ、半熟のうちに大きくかき混ぜて皿に盛る

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