秋の焼き肉!失敗も笑いとばすスタミナレシピ 認知症の母が喜ぶ毎日ごはん
撮影/百井謙子
フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。笑顔のために。肉を食べて元気になれば、失敗も笑い飛ばせます。
※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません
朝5時前、母が起きて家の中を歩き回っている。「テレビをつけてもいい?」と聞くので、「いいよ」と私は布団の中で答える。遅くまで原稿書きをしていたのでまだ眠かった。
今度は、「ねえ、手袋がうまくつけられないんだけど」と話しかけてくる。タイマーで暖房をつけていたので、寒くはないはずだ。心の中で「おかしいな、寒いのかな」と考えながら、寝たふりをしていた。
「ねえ、手袋がうまくつけられないんだけど」と繰り返す。しかもだんだん声が大きくなる。しぶしぶ布団から出て母のところに行くと、手にはめていたのは手袋ではなく靴下だった。そりゃあ、指が通るはずがない。「お母さん、これね、手袋ではなく靴下だよ」と言ったら母も我に返ってふたりで大笑い。
こういうことを笑えるか、笑えないかは、私にかかっている。介護で同居したばかりの頃は、やせてしまった母の食事量を増やすことを優先し、自分の食事がおろそかになっていた。そうすると寝ても疲れがとれない。私もしっかり食べないと笑うことはおろか、倒れかねないと気づくまで、1カ月以上かかった。
体力維持のために食べるようにしていたのは、やっぱり肉! 手軽に調理できる焼き肉用の肉をよく使っていた。色の濃い野菜と一緒に食べるとさらに元気が湧くような気がする。
牛肉とかぼちゃの炒め物
冷凍野菜を使い、焼き肉用にカットされた肉を使えば包丁いらず。長期間保存できる冷凍野菜をストックしておくと、使いたいときに使いたい分だけ取り出せるので便利です。にんにくとしょうゆの味つけで、疲れたときでもごはんが進みます。
材料 2人分
焼き肉用の牛肉 160g
塩 適量
冷凍かぼちゃ 80g
冷凍ブロッコリー 80g
オリーブオイル 大さじ1
おろしにんにく 小さじ1/2
しょうゆ 小さじ1
水 50ml
作り方
- 牛肉に塩をふり、下味をつける
- フライパンにオリーブオイルを入れて中火で熱し、肉を焼いてにんにくとしょうゆで味つけしたら、いったん取り出す
- 2のフライパンを洗わずに、凍ったままのかぼちゃを入れ、水50mlを加えてふたをする。3分したらブロッコリーを加えて再びふたをして蒸す
- 2の肉を戻し入れ、炒め合わせる