認知症の母が喜ぶ毎日ごはん 目玉焼きには骨がある
撮影/百井謙子
フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。初回はどのような料理が?
※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません
ある朝、母が「目玉焼きに、骨がある」と言った。「骨はないよ」と答えたのだが、また翌朝も同じことを言う。それでようやく気づいた。目玉焼きの白身のふちの焦げた部分が口に残って「骨」と認識していたのだ。
「卵に骨はない」と説明しても納得してくれない。私は、カリカリしたふちが好きなので「そこがおいしいんだよ」と力説したいくらいだったが、「骨」と頭の中で変換されてしまった以上、それを打ち消すことはできない。白身の焦げは「骨」だ。目玉焼きには骨があるのだ。
この出来事をきっかけに目玉焼きを出すのをやめ、スクランブルエッグが食卓を彩ることになった。2人分で卵を3個使うので、目玉焼きよりも卵が少し多く食べられる。卵液の中にいろいろな具を混ぜられるので栄養価も高まる。冷蔵庫の半端な食材も使いきれる。
目玉焼きからスクランブルエッグに変えてみれば、いいことがいっぱいあった。
デイサービスに送り出すまであわただしい朝。ゆで置きした野菜があると手早く食事の準備ができる。特に重宝したのがブロッコリー、にんじん、かぼちゃ。
ブロッコリーとしらすの半熟スクランブルエッグ
ゆで置きしておいたブロッコリーを刻んでスクランブルエッグの具にします。しらすでうま味と塩気をプラス。半熟のうちにまとめ、しっとり食べやすく仕上げます。
材料 2人分
卵 3個
ブロッコリー(ゆでたもの) 4房
しらす 30g
しょうゆ 少々
顆粒中華だし 小さじ1/2
サラダ油 小さじ1
作り方
- ブロッコリーを細かく刻む
- ボウルに卵を割り入れ、1のブロッコリー、しらす、しょうゆ、顆粒だしを加えて混ぜる
- フライパンにサラダ油を入れて中火で熱し、2を流し入れる
- まわりが固まってきたら菜箸で大きく崩して混ぜ、半熟の状態で火を止める
次のレシピは…温かいサラダ
こんな記事も
- 高齢者の運転を考える 運転やめたら認知症が進む?気をつけたいポイント
- もめない介護って? 冷蔵庫で分かる認知症のサイン。親子バトル回避の心得
- 娘が描いた漫画が泣ける 手仕事が得意な母が若年性アルツハイマーに