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介護施設で、あるある探検隊♪

爆笑の介護レク「モーモン」ってなに? あるある探検隊の活動報告7

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま介護施設をまわっています。テレビや劇場の一般客相手と違って、施設の利用者さんたちを笑顔にするのは、やっぱり難しい! そんな2人が見つけた、今日の介護現場の“あるある”は――。

「満腹アヒル」ゲームを披露するレギュラー
写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

レギュラーの2人が介護施設で披露する「満腹アヒルの大冒険」という定番レクリエーションがある。2人が生み出したオリジナルのネタだ。

やり方は簡単。口を両手の指でつまんで「アヒル口」にして食べ物の名前を言うと、フゴフゴとなにを言っているのかわからない。利用者たちにも参加してもらい、お互いにそれを当てるクイズ形式のレクリエーションである。

ある施設ではこんなやりとりが――。

「麺とスープが一緒に丼に入っている食べ物です。(指で口をつまんで)モーモン(ラーメン)。はい、なんでしょう」
まず松本くんが出題すると、「カレーライス」と答える利用者。

「おしいですね。もう1回いきますよ。はい。(指で口をつまんで)モーモン」
「ん? カレーライス?」と別の利用者が答えをかぶせてくる。

「ラーメン」でさえこれだから、たとえば「ウングウングウングウング(チンジャオロースー)」など長いものになると、高齢者でなくても正解するのは難しい。

だけど大丈夫。このクイズは、微妙に聞き取れるように口のつまみ方を自分で加減できるのがミソ。わかるかわからないか、いや、何度か聞いていると、もう完全に答えを言っている!くらいのさじ加減でちょうどいい。

何度か訪問した施設では、松本くんが口をつまむ動作をしただけで大ウケ。いまやそこでは「松本くんアヒル」なる第2の芸名で呼ばれているんだとか。

松本くん 「満腹アヒルの大冒険」は、レギュラーのオリジナルレクリエーションのなかでも自信作のひとつやね。

西川くん あれはどうやって思いついたんやったっけ?

松本くん しっかり言葉を発しましょうというレクリエーションはすでにあるから、逆に、滑舌の悪さを楽しむものができないかな、と。それで口をつまんで話すことを思いついたんや。

西川くん 介護レクリエーションとしては、これが意外に理にかなっていたみたいやね。僕らも「聞き取りにくいから、なんて言っているのか聞き取ろうとして頭も使う」とか、「脳トレによさそう」「集中力が高まりそう」くらいの効能は予想していたけど。

松本くん 意外だったのは、もしかしたら高齢者に多い「誤嚥性肺炎」の予防にも効果があるかも知れない、ということやね。年を取るとあまりしゃべらなくなるし、笑わなくなる。そのせいで口の筋肉が衰えたり、つばが出づらくなったりする。それが誤嚥性肺炎を引き起こす要因になっていることもあるらしい。

そうそう、この満腹アヒルの大冒険は、高齢者施設じゃないところでもやったことあったね。

西川くん あー、(漫才日本一を決める)M-1グランプリやろ。僕らは出場してなくて、合間のアトラクションを受け持ったんだよね。朝から晩までやっているから観客も疲れてくる。そこで、ゲームでもやってリフレッシュしようと、満腹アヒルをやったことがあったな。

松本くん 何度か僕らが出題してみせて、それから観客に向けて「アヒルのゲームやりたい人?」と聞いたら、「やりたーい」と元気に名乗り出た子どもさんがいはってね。小学1~2年生ぐらいの子やったかな。

西川くん これはウケましたね。施設でやるのと同じようにやったんやけど、やっぱりおもしろい。子どもは容赦なく口を締めてしまうから、なにを言ってるのかさっぱりわからない。ムームームーとしか聞こえへんもんな。これがウケる。いやいや、満腹アヒルはほんと万能や。

松本くん なにを言っているのかわからなくてもおもしろいし、僕らがヒントを出して、誰かが当てたらさらに会場は盛り上がるし。普通のステージでお客さんを巻き込んで楽しむネタもいいものだなと、そのとき勉強させてもらった。

西川くん 松本くんは普段から自分のSNSでも、満腹アヒルみたいな介護レクリエーションのオリジナルネタをアップするやろ。

松本くん うんうん、デイサービスの仕事に就いている人とかから、「さっそくやってみました」「楽しくできました」などと反応をもらうとうれしくなる。施設のスタッフさんたちには、どんなレクリエーションをやったらいいのか困っている人も多いみたい。

西川くん 僕らは施設に行ってもその日のことやけど、施設に勤務している人は毎日のようにレクリエーションの予定を組まなくちゃいけないもんな。大変や。「なにか新しいネタ」をいつも探しているんやね。

松本くん そういう人たちの参考になればいいと、僕らの本でもオリジナルのレクリエーションをいくつか紹介した。使ってもらえるとうれしいなあ。あ、いかん、また本の宣伝をしてしもた!

西川くん 松本くん、それはワザとやろ。

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