認知症とともにあるウェブメディア

今日は晴天、ぼけ日和

言葉はなくても想いが伝わる 認知症の母がつくった千代紙アート

《介護施設で働く漫画家、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

「よっちゃん」「よっちゃん」「よっちゃん」『娘さんの美子さんのことかな?』

認知症を深めた、ミヨさんとのアートワークの時間。ミヨさんは言葉での意思伝達が難しくなっていて、周囲がご本人の表情や様子から、お気持ちを察するしかなかった。

「この千代紙の柄・・・」

主介護者の美子さんは、人が変わったかのようなミヨさんの介護に、疲弊していた。そんな美子さんに、ミヨさんが「よっちゃん」と繰り返していた、千代紙のアート作品をお渡しした。

「母が昔、縫ってくれたワンピースと同じです・・・」

アートの奥に、変わらぬ愛がある。

認知症の方への臨床美術(アートセラピー)の、期待できる効果のひとつとして、
ご家族の関係の再生があります。

認知症を深め、変化されたご本人に、
落胆してしまうご家族は少なくありません。

けれど、ご本人がどんな状態であろうと、
表現されたアートには、
元々のその人らしさが表れます。

ミヨさんと美子さんのように、
明確な記憶の断片が、表現されたアートになかったとしても、

アートワーク中のご本人の笑顔に、
ご家族が触れ、日々の介護に意欲を取り戻されることはよくあることなのです。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

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