介護されるばかり ほめられることもないけれど 生きた私に贈り物
《介護福祉士でイラストレーターの、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
今年最後に欲しいもの。
あなたにはありますか?
たったひとつ、私にはある。
私は仕事もしていないし、
介護されるばかりの身だけれど、
花束がほしい。
特別なことをするわけでもなく、
朝起きて、寝て、また起きて。
誰にもほめられることはない毎日だけれど、
ここまで生きてきた自分への、
花束がほしい。
ここまで、よく生きてきたね。
おつかれさま。そして、祝福を。
私に、あなたに、誰もに、
今年最後に花束を。
「仕事もしてないし、介護されるばかりの毎日だけれど、
ここまで生きた私は、
花束をもらっていいと思う」
ふとこぼれたその人の言葉は、
私に、そして生きているすべての人に向けられた言葉だと感じました。
私たちは誰もが、そのときそのとき精いっぱいに、
自分のいのちの時間を駆け抜けています。
うまくいこうが、いかなかろうが、
怠けようが、つまずこうが、
誰にもほめられることがなくても、
積み重ねてきた今日までのすべてが、
いとしい命の時間でした。
今年もしめくくりの時が近づいています。
すべての人に、誰もに花束を。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》