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孫の学年も間違えたり…父は認知症かも 帰省時の確認法【お悩み相談室】

冷蔵庫を開けるひと、Getty Images
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認知症介護指導者の上村尚之さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。

Q.父が遠方で一人暮らしをしていますが、最近メールの文章がおかしく、孫の学年を間違えるので認知症かもしれないと心配しています。年末の帰省時によく確認しようと思いますが、家の様子など、どんな点をチェックすればいいですか?(50代・男性)

A.年を重ねていけば、誰でも認知症になる可能性はあります。それは自然なことであるということをまず理解してほしいと思います。孫のことについては、名前がわからなくなったり、孫の存在を認識できなくなったりしたら心配ですが、学年を間違えるだけであれば心配いらないでしょう。

そのうえで帰省時には、次のようなことをさりげなく気にかけてみてください。まず冷蔵庫の中です。消費期限がとっくに過ぎたもの、腐ったもの、同じ食品がいくつも溜まっていないかといった点です。トイレの汚れ具合やゴミの溜まり具合もわかりやすいサインだと思います。当てはまる点があれば、判断力や理解力が落ち、認知機能が低下している可能性があるといえます。ただし、お父さんの気持ちを第一に考え、見守りが管理や監視にならないように気をつけることも大切です。

久しぶりの帰省となると、以前との違いが目につきやすく、「前はできていたことがあれもこれもできなくなっている」と心配になるかもしれません。けれどもできることにも目を向けて、あまり心配しすぎないようにしてほしいと思います。家族が心配しすぎて、本人の平穏な生活が壊されるというケースも実際にはあります。

僕は先日祖母と会ったら「2年ぶりだね」と言われたのですが、実際には1カ月前にも会っています。記憶力が低下してはいますが、僕のことは認識できますし、食事を作ったらたくさん食べてくれ、帰るときには野菜を持たせてもくれます。好きな歌を歌えますし、普通に会話もできます。

世間ではまだ「認知症=絶望」という認識を持つ人が多いように思います。しかし認知症になっても、できることはたくさんあるのです。

相談者はお父さんのことを大事に思っているからこそ、心配になるのでしょう。その気持ちがあるのであれば、毎日電話をするなど、コミュニケーションをとる頻度を増やしてほしいと思います。帰省した際にはお父さんが暮らす地域の人たちと関係性をつくっておくことも大事です。

今は認知症についてポジティブに書かれている本やマンガがたくさんあるので、そうした本で理解を深めると、認知症を疑って身構えなくてもいいことがわかります。いまの不安も和らぐのではないでしょうか。

【まとめ】最近メールの文章がおかしく、孫の学年を間違えるので、認知症が疑われる父。帰省時にチェックすることは?

  • 冷蔵庫の中に腐ったものや同じものが溜まっていないか、トイレの汚れ具合、ゴミの溜まり具合などをさりげなく気にかける
  • 年を重ねれば誰でも認知症になる可能性があることを理解する
  • できなくなったことばかりではなく、できることにも目を向ける
  • コミュニケーションをとる頻度を増やし、父親が暮らす地域の人たちと関係性をつくる

 

 

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました≫

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