年末年始に笑顔で過ごす 海鮮ちらしのだんらんご飯
撮影/志水香代
インクルーシブパティシエの志水香代さんが、年齢や障害の有無などにかかわらず誰もが同じ食卓を囲んで楽しめることを目指した「インクルーシブフード」のレシピを紹介します。今回は人が集まる機会が増える時期にぴったりの「海鮮ばらちらし寿司」と「帆立しんじょうのすまし汁」、デザートに「ウフ・ア・ラ・ネージュ」です。ポイント食材は、はんぺんと卵白。それぞれのお口の機能に応じてかんだり、のみ込んだりできる食べ物の形態は異なるため、以下の「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2021 」のコードをご参照のうえ、嚥下(えんげ)機能や咀嚼(そしゃく)機能などお口の機能に気になる点があれば、歯科医師や医師など専門家の指導の下でお楽しみください。
- 年末年始は人と集まる機会が増える時期です。世代の違う人が集まるとき、味付けや食べやすさをちょっと工夫すると、一つのテーブルでみんなが楽しめることをご存じですか。ブッフェならメニューの選択肢を増やす、同じメニューで一緒に食べるなら作る工程の途中で取り分けて、それぞれの食べやすい形態で調理をするか、はじめから柔らかいもので献立を構成するかを考えます。「食べる」ことは「生きる」こと。誰と食べるかも大切です。みんなで美味しく、楽しくだんらんができるメニューを考えたきっかけは「美味しい」の笑顔でみんなが元気になることを、たくさんの方に教えてもらえたからです。これからも大切な人と過ごす時間に笑顔が溢れるメニューを提案していきたいと思います。
海鮮ばらちらし寿司(常食またはコード3相当)
【材料】4人分
刺身用マグロ 120g
刺身用サーモン 120g
アボカド 1/2個
レモン汁 少々
お好みのドレッシングまたはマヨネーズ 少々
(伊達巻風卵焼き)
卵黄 2個分
はんぺん 50g
砂糖 5g
だし汁 20㏄
油 少々
(ごはん)
ごはんは、お茶碗にそれぞれが日ごろから食べている硬さのものを準備
酢の粉(すしのこ)かポン酢 少々
桜でんぶ 少々
きゅうり 1/2本
作り方
【ごはん】ごはんはいつも食べている硬さのごはんを準備する。
- きゅうりはすりおろして、水気をザルで切っておく。
- ごはんは「すしのこ」や「ポン酢」でお好みに味をつけたあと、2等分にする。ひとつは桜でんぶをあえ、ひとつは水切りしたきゅうりをあえて、一緒に器に盛る。
【具材】
(伊達巻風卵焼き)
- ボウルに油以外の材料をいれて、ハンドブレンダーで混ぜ合わせる。
- フライパンに薄く油をひいて、1を流し、弱火で蒸し焼きにする。
- 箸の先に生地がついてこなければ出来上がり。
(お刺身とアボカド)
<常食:角切りが食べられる場合>
- アボカドを角切りにしてレモン汁をふって黒くならないようにする。
- お刺し身用のマグロとサーモンをそれぞれ角切りにする。
<コード3相当:角切りが食べられない場合>
- アボカドを角切りにしてレモン汁をふった後、ビニール袋に入れて握りつぶす(粒が気になる場合は熟したアボカドを使用すると、きれいなペースト状になります)。
- お刺し身用のマグロとサーモンを角切りにした後、包丁でたたく。脂身があまりなく口腔内にすべりがでない場合は、オイルで調整する。
【仕上げ】器のごはんに具をトッピングして完成。
<Point!>
・ちらし寿司のごはんに入れる酢は、パウダー酢がおすすめです。
・きゅうりの水分はよく絞ってから使うと、ごはんに余計な水分が入りません。
・お刺身は脂がのったものを使用すると食べやすくなりますが、それでも食べにくい場合は、味付きオイルであえると、口の中の滑りと旨味が増します。
~おすすめの組み合わせ~
刺身用マグロ:オリーブオイル+ワサビ醤油
刺身用サーモン:オリーブオイル+塩 またはお好みのドレッシング
お子さまならマヨネーズがおすすめです。
帆立しんじょうのすまし汁(コード3相当)
【材料】4人分
帆立(缶詰でも刺身でも) 40g~65g
大和芋 40g
はんぺん 40g
コーンスターチ(または片栗粉) 大さじ1
だし汁 600㏄
醤油 小さじ1
酒 大さじ1
塩 少々
作り方
- 鍋にだし汁、醤油、酒、塩を入れて温めておく。
- 帆立、大和芋、はんぺん、コーンスターチをボウルに入れ、ハンドブレンダーで滑らかにする。
- 2を、スプーンを使って1へ落とし、火が通ったら出来上がり。
<料理の工夫>
だし汁は、市販のお吸い物の素でもっと簡単に作ることができます。
とろける天使のおやつ「ウフ・ア・ラ・ネージュ」(コード2-1相当)
【材料】4人分
卵白 2個分
グラニュー糖 35g
塩 少々
レモン汁 少々
バニラアイス 適量
お好みのフルーツソース 適量
ミントの葉(飾り用) 数枚
作り方
- 7分目くらいまで水を入れた鍋にレモン汁を加えて、弱火で加熱し80度くらいのお湯を作っておく。
バニラアイスは器で溶かしておく。 - ボウルに卵白とグラニュー糖と塩を入れて泡立てる(目安は泡立て器ですくってピンと立つくらいの8分立て)。
- 2を絞り袋にいれ、クッキングシートの上に絞り出し、クッキングシート側を上にして1の鍋に入れる。
- クッキングシートがとれたら完成。鍋から取り出し、溶かしたバニラアイスの上に盛る。
- お好みのソースをかけ、ミントを飾る。