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今日は晴天、ぼけ日和

豊かさや温かさを生む高齢者との時間 自身の幸せにつながる介護の仕事

《介護福祉士でイラストレーターの、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

昨日はありがとう

目が見えづらいあなたのためにと書いた、
手書きの大きな文字は、
私自身をほっとさせる。

あれもしなきゃこれもしなきゃと、
走りつづける私を、

たしなめる素朴さがあるから。

耳元で話すひと

聞こえづらくなったあなたの耳に語りかける、
短くて分かりやすいことばは、
私の気持ちを明確にさせる。

大切なことをじっくりしようと、

私の在りたい姿が浮かぶから。

2つのゆず

年齢を重ねた人と一緒にいることは、

私たちに与えられた恵み。

だってほら、こんなに私を、
本当のしあわせの方へ、
導いてくれるから。

高齢の人と一緒にいることは、自分自身の幸せにつながること。

だからこそ、血のつながりに関係なく、おじいちゃんやおばあちゃんと過ごす経験がない子どもは、なんだかもったいないな、と感じます。

それは、いわゆる情操教育や思いやりを育むためといった理由ではありません。

高齢者と過ごすことで、その人との間に生まれる豊かさや温かさが、たしかに存在するからです。

そして、この「豊かさ」を仕事をする中で知っているのが介護職という職業の人たちです。

だから彼らは介護の仕事を続けられるのです。
決して、ただ相手のために尽くすだけの気持ちでいるわけではありません。

皆さんは、介護職というと、
「大変な仕事をえらんだ、優しい人」という、イメージが浮かぶのではないでしょうか?

けれど介護職は単に「優しい人」ではありません。
老いていく人々のリズムをその身で共有することで、
人生のはかなさ、そしてそれ以上に豊かさを伺い知ることができている人たちなのです。

若い世代の介護職志望者が減少しているといわれる今だからこそ、
こうした介護の明るい一面も、もっと多くの人に知ってもらいたいと願っています。

 

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

 

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