認知症とともにあるウェブメディア

お悩み相談室

働きながらの介護 休むと同僚から白い目…退職すべき?【お悩み相談室】

同僚から白い目で見られる女性、Getty Images
Getty Images

認知症介護指導者の椎名淳一さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。

Q.同居している母(70代)が脳梗塞で要介護となり、介護保険サービスを利用しつつ、介護をしています。通院やリハビリなどのために介護休業や有休などを取って会社を休むのですが、同僚たちから白い目で見られ、仕事を辞めるべきか悩みます(40代・女性)

A.相談者のように働きながら介護をする「ビジネスケアラー」はとても増えていて、社会的にも問題になっています。仕事を辞めるべきか悩むほど、同僚からの白い目に困っているのですね。世の中の介護に対する理解は、十分に進んでいない面もあり、経験したことがない人にとってはなぜ介護のために休まなければならないのか、イメージしづらいかもしれません。
1つの方法として、直属の上司に対しては、漠然と「介護のために休む」と伝えるのではなく、「この日は母を病院に連れて行かなければならないから休みたい」など、どのような介護をする必要があるから休みをとりたいのか、できるだけ具体的に伝えることをおすすめします。そうすることで、会社側も相談者に何が起こっていて、どのように対応すればいいかが明確になるはずです。

私自身は職場でスタッフを管理する立場にあり、もちろん介護の現場なのでほかの業界に比べて理解はあるのですが、1人が休むことでその穴を埋めなければならないことは変わりません。本人の許可を得られれば、私からほかのスタッフに「こういう状況だからよろしくね」と休む理由を具体的に伝えるようにしています。そのうえで休んだ本人には、誰がどのようにフォローしたのかをさりげなく伝えています。すると休んだ人はフォローしてくれた人に対して、感謝を伝えやすくなると思うからです。軋轢を生まないためには、代わりにやってもらったことに対して「この間はありがとうございました」ときちんと伝えるなど、基本的なコミュニケーションが大事なのではないかと思います。

仕事を辞めるべきか悩んでいるとのことですが、介護だけの生活になると自分の時間がなくなってしまう可能性が高くなるので、精神的にしんどくなることも考えられます。また、職場を変えるにしても雇う側は介護をしていて時間の制約がある人を雇うことになるわけですから、転職活動は難航するかもしれません。今の職場でどうしても周囲の理解を得られないということであれば、できるだけ会社は辞めずに、部署を変えるなど働き方を見直すのはいかがでしょうか。

親の介護というのは、誰の身にも起こる可能性があることです。「お互いさま」の気持ちで助け合えるような社会になることを願っています。

【まとめ】介護のために休むと同僚から白い目で見られ、仕事を辞めるべきか悩むときには?

  • 直属の上司には、どのような介護をする必要があるから休みたいのかを具体的に伝える
  • フォローしてくれた人に対して感謝の気持ちを伝える
  • なるべく会社を辞めずに部署を変えてもらうなど、働き方を変える方向で考える

  

  

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました≫

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この連載について

認知症とともにあるウェブメディア