「モノを壊す天才」と言われた私のしでかし…周囲のフォローで見事に解決!
タレント、アナウンサーとして活躍する“コマタエ”こと駒村多恵さんが、要介護5の実母との2人暮らしをつづります。ポジティブで明るいその考え方が、本人は無意識であるところに暮らしのヒントがあるようです。慌ただしい朝に、車椅子のパーツが不具合を起こした時のお話です。
車いすの不具合
「あんたは、モノを壊す天才やな!」
私は母から何度この言葉をかけられたかわかりません。私が触ると様々なモノが壊れてしまう不思議。良かれと思って修理しようとしても、割れたり、バラバラになったり、外れたり、逆に外れなくなったり。そんな私が、先日、またやってしまいました。
朝、車いすの左足フットレストがきちんと嵌(は)まっていなかったので、一度取り外しました。フットレストの黄色いアダプターの位置が違うのかな?と、軽い気持ちで上段から下段につけかえてみると、あれ? さっきよりも嵌まらない。そして、無理やり嵌めたことでアダプターが外れなくなってしまいました。嗚呼、母の呆れた声が聞こえてきそうです。
ピンポーン。
まずい、そうこうしているうちにデイサービスのお迎えの時間です。母を車いすに移動させなければ!
「おはようございまーす」
次のお宅のお迎えの時間があるので、とにかく出かけねばなりません。咄嗟に嵌らない左足フットレストを紙袋に入れて車椅子にぶら下げ、畳んで置いてあった段ボールを右足フットレストの上に敷いて、両足をのせました。ちょっと重みで左足が下がりますが、ぶらんぶらんした状態よりはマシです。「ごめんねー、不器用な娘で…」と謝りながら母を送り出しました。
屋外用の車いすはレンタル品です。この日は朝の生放送はなく、翌日放送分のリハーサルがありました。どうしたら元通り使えそうか福祉用具会社の方に相談の電話を入れると不在だったのでメールを送信。すると、打ち合わせが始まる直前、本日中に様子を見に来てくださるとの返信が。有難い! すぐに時間を詰めたいところですが、打ち合わせが始まるので一時中断。こちらの急なお願いに迅速な対応を申し出て下さったのに、すぐ返信できず先方の予定を決められないのは心苦しいです。こういうところが仕事をしながらの介護の難しいところです。
打ち合わせが予定より3分早く終わったので、3分後に始まるドライリハーサル(編集部注:カメラを使用しないリハーサルのこと)までに先ほどの続き、修理の時間を探ります。福祉用具担当の方の都合の良い時間が昼過ぎまでなら、本人はデイサービスにいるのでデイでの修理。夕方なら自宅。ただ、今日は帰宅後すぐに訪問嚥下リハビリの受診があり、本人は室内用の車いすに乗りかえているので作業自体は可能ですが、お構いできません。こちらの本日の予定をお伝えすると、受診中でもよいので遅い時間でと、すぐに返信が届きました。
良かった! 早々に時間を確定できたことにもホッとしました。
次は、デイサービスに連絡です。連絡帳に書く間もなく送り出したので、段ボールに足をのせた母を見てフロアの方は驚いたはず。
ドライリハのあと、カメラリハーサルの前に照明の準備をするため、その時間が空きます。この日は7分を要するとのことで、そこが連絡チャンス。デイへ電話です。すると、「フットレストのアダプターを付け替えてみたら、直りましたよ。ハハハハ! ちょっと硬かったけど。あれ、黄色いのを付ける場所が間違ってましたね。フットレストが入っていた紙袋は処分しても良いですか?」
全てを理解した上で、気を利かせて修理して下さったというのです。有難うございます! 紙袋はお手数ですが、処分をお願いします!
丁重にお礼を申し上げ、電話を切ると、すぐに福祉用具会社に連絡。解決したこと、時間調整をして駆けつけようとしてくださったことへの感謝を伝え、急いでスタジオに戻り、マイクをつけたらカメリハ1分前。間に合いました。
いつも先回りしてフレキシブルな対応をしてくださる方々に支えてもらっているからこそ成立しているシングル介護。本当に頭が上がりません。そして、一向に直らない私の破壊癖。猛省です。