がんばってきたね 桜の花びらが空から降ってくる 命を祝福するように
《介護福祉士でイラストレーターの、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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今年も見上げれば、満開の天から
桜の声が降ってくる。
「がんばってきたね」と。
——そうなんだよ、桜。
今日ここまで僕は、生きてきたんだよ。
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桜よ、あなたも見ていてくれたよね?
今日までの、僕のかなしい別れを。
不意の風が、僕からさらっていったように見えた人たちは、
本当はどこにもいってない。
きっと今も、僕のそばにいる。
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「お疲れ様、よくやってきたね」と声が降る。
「おめでとう」と
桜が僕の命を祝福する。
また会おうね、桜。
僕は今日も歩いてゆくよ。
2011年、まだ雪が残る早春。
私は宮城にいました。
余震がつづくがれきの町の、桜のつぼみが開いたとき、
それを見上げる人たちに、ふわりと広がった希望を忘れられません。
今年の元日は言うまでもなく、
能登半島地震がありました。
被災された皆様、そしてそのご家族はもちろん、
心を痛める多くの方々が今日ここまで、
新年の華やかさなど味わうことなく、
それぞれの思いを抱えながら、やってこられたのではないでしょうか。
それでも今年も、桜が咲きます。
「お疲れ様、よくやってきたね」と、
ここまで生きてきた、私たちを祝福するかのように。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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