「お互いさま」 やわらかに広がれ だれにでもやさしい未来はすぐそこに
《介護福祉士でイラストレーターの、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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ボタンひとつ、ずれてたって、いいじゃない。
毎日必死にネクタイをしめてた、
あの頃よりずっと、
私の顔はおだやかでしょう?
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いちにち寝て過ごしたっていいじゃない。
あれもしなきゃこれもしなきゃ、は
もういいの。
夕やけのまどろみ、
かけぬけた日々は夢のあと。
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ぼけたって、いいじゃない。
最後のしめくくりは、おおらかに。
あっぱれ笑って、ぼけ日和。
2018年12月16日から、週連載がはじまった
「今日は晴天、ぼけ日和」は、
おかげさまで5周年を迎えることができました。
今よりもずっと「認知症」に偏見が強かった当初は、
タイトルの「ぼけ」という言葉がまとう、
やわらかさ・楽観的な雰囲気に、
「認知症を軽く扱うのは、いかがなものか」と、
ご指摘を受けたこともありました。
けれど、今、そんな声をかけられることは、まずなくなりました。
「誰だってぼけるよね。私もいつかなるんだろうから、お互いさま」
そんな身近さが、どなたにも生まれはじめているからではないでしょうか。
そしてこの広がりこそ、ひとりひとりの願いが発芽した、
誰にでもやさしい未来のあらわれと思わずにはいられません。
今日この回まで、たま~にでも、
「今日は晴天、ぼけ日和」をご覧いただいた、
皆さまの寛容さと応援に、心から感謝いたします。
「ぼけたって、いいじゃない」
そんな思いがやわらかに広がる、
未来を夢見ながら、
2023年も誠にありがとうございました。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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