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失敗しても諦めずにやり続けることの大切さ@西尾~BLGの活動報告

プランターでできた、二十日大根の収穫
プランターでできた、二十日大根の収穫

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、愛知県西尾市にあるBLG西尾(デイサービスセンター「シルヴィー西尾」)からの報告です。

BLG西尾の芦塚です。今年も残りわずかとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
2022年の6月から100BLGに加盟して、1年半が過ぎようとしています。

100BLGの考えを学びながら、日々、メンバーさんと様々な活動をしています。
「様々な活動」と銘打ちましたが、デイサービスセンターであるBLG西尾は定員が40名です。
今は、大体25~30人のメンバー様が日曜日を除いた毎日、利用されています。
その中で、「これがやりたい」「こんなことやってみたい」という思いは一人ひとり違います。
人数が多ければ多いほど、思いも様々です。人の数の分だけ、やってみたいことをしっかりとメンバーさん同士(職員間でも)共有できるようにするために、BLG西尾では今年の3月、活動ごとに職員にも担当をつけました。

担当をつけたことでのメリット

・メンバーさんと職員の距離感が近くなったことで、今までよりも深く意見交換ができるようになった
・他職員へ情報の共有ができるようになった
・ゆっくりと時間をとって話す環境ができた
・職員の中で、責任感を持つことができる
などが挙がりました。

今回は色んな活動がある中の1つ、園芸の始まりについてお話ししたいと思っています。

畑作業
畑作業

きっかけは、メンバーさんのご家族様からの言葉でした。

「今じゃ家でも動こうともせん。今では私に頼りきりになってしまっている。
昔みたいに、畑仕事をすることで少しでも動く機会が増えてくれたらありがたいな」と。

今回、この話を受けてさっそく「畑を一緒にやってみないか?」と聞いてみました。でも、すんなりと話は進みません。

メンバーさんから帰ってきた返事は、
「畑の土地が広いから誰かがやってくれれば家内も喜ぶけど、別に今、おっかぁがやっているから任せとけばいい」
「あんたら(職員)ができるならばやってみればいいけど、責任持って最後までできるのか?」と、少し厳しい意見を頂きました。

最初は、職員がやるのではなく、メンバーさんたちが主体となってやってみてほしいという思いが上手く伝わらないことへの悲しみが強く、つい熱くなりすぎてしまう場面がありました。
何度も話し合いを繰り返した4回目の出来事……。
こんな意見がありました。

「畑をやってみようって言ったのは去年だったじゃないか。でもそこから話が何もないじゃないか」と。

そう。この話、実は去年から話題として上がっていました。
去年は新型コロナウイルスの影響でなかなか積極的に外出ができないことが続きました。
また、立て続けに職員が新型コロナウイルスにかかり、職員不足だったことも重なりました。
さらには活動に職員の担当をつけなかったこともあり、結局職員も誰かが中心となっての「やっていこう!」という話し合いまでには至らず、「今は無理だね」と勝手に決めつけてしまいました。
それは怒られてしまいますよね……。
だって、そこにメンバーさんがいなかったのだから。

本来ならば、中止とした理由も、いつごろからやってみようということも、きちんと伝えなければいけなかった。そのことがメンバーさんはずっと引っ掛かっていたと、教えてくれました。
その話し合いでお互いが思っていることを伝え、謝罪もして、そしてみんなの力も借りながら、そのメンバーさんをはじめ「まだやりたい」と思っている他のメンバーさんにも声をかけ、「一から畑作業をやってみたい! そのために一緒にやってみませんか?」とお伝えをしてみると、
「畑作業は嫌いじゃないし、できるなら自分の畑でまたやってみたい! 今は車もないから好きなときに畑に行くことができないしね。それでも自分たちだけでやるんじゃなくて、自分たちにも職員さんの手が必要だから、お願いします」と逆にお願いされてしまうほどでした。すごくありがたい言葉だし、諦めずに話しかけてよかった、と心から思えた瞬間であったと同時に、とても申し訳ないことをしてしまったと反省もしました。

職員も利用者様も、みんなメンバーなのです。お互いが同じ目線で物事を考えられるべきなのです。今回はメンバーさんから素直にその大切さを学ばせていただきました。

何もないところからのスタートって、「いざやってみよう!」と思ってもなかなか最初の一歩というのが始めにくいですよね。でも、「失敗してもいい! まずは何でもやってみよう!」がモットーのBLG西尾農園が始まりました!!

秋冬野菜の栽培に取り組んでいます
秋冬野菜の栽培に取り組んでいます


ちなみに……
BLG西尾農園でやっていること
・初めて芽出し作業を行った
・苗や野菜を近隣保育園へ販売したり、無人販売をやってみたりした
・ポスターを作って、農園に必要な物品の依頼をした
・毎日の野菜やプランターのお世話(水やり、肥料をあげる、土の消毒、草取り)等
・育て方のコツを書いて、購入してくれる人へお渡しした
・種袋を作ってそれを近隣保育園へお渡ししたことをきっかけに、新たに保育園とのつながりを持つこともできた

大根を収穫して販売(左)、プランターで大葉の収穫
大根を収穫して販売(左)、プランターで大葉の収穫

結果
・芽出し作業をしたものは、近隣保育園へお裾分けをしたり、無人販売をしたりして畑やプランターで育てることに成功した
・ポスターを作ることで、農作業に必要な道具や苗を同事業所の職員やメンバーさんのご家族から頂くことができた
・毎日のお世話をすることで、次は何をすればいいのかをメンバーさんと共に考え、準備にすぐに取り掛かることができた
・苗をお渡しするときに、メンバーさんから「お世話のコツを書いたほうがいいよ」と伺い、販売時に一緒にお渡しすることができた
・収穫した野菜はBLG西尾で一品料理にして、作ってみんなで食べたりもした
・地主さんはもちろんのこと、地域の人たちの支えもあり、BLG西尾は成り立っています!

最後に……

園芸に携わる人は様々です。色んな意見が飛び交います。
ときには、メンバー同士で意見がぶつかることもたびたび見られます。
でも、そんなときは職員も入って、何が一番いいのかを考え、次につなげていきます。
「失敗は恥ずかしいことじゃない! だからまずはやってみようよ!」をモットーにして、何事もやり続ける大切さを大事にしています。

畑で一息つきながら
畑で一息つきながら

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