認知症カフェに誘ったら不機嫌に…そんな友人が気にかかる【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
東京都認知症介護指導者でデイサービススタッフの坂本孝輔さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。
Q.近所に同年代で仲良くしている友人がいて、お互いにもの忘れが増えてきたことを笑い話のようによく話しています。認知症も他人事ではないと思っていて、近くの図書館で認知症カフェが開かれていることを知り、誘ったところ「私はまだ認知症ではない」と怒られ、断られました。1人で行くのは不安ですし、友人のことも気になります(77歳・女性)
A.お互いのもの忘れを笑い話として語り合える友人がいるというのは、本当に幸運なことですね。この貴重な友人関係を保つということを最優先に考えてほしいと思います。
友人はなぜ気分を害したのでしょうか。もしかしたら、友人は今まさに認知症についてリアルな不安を抱えているのかもしれません。家族や知人に指摘されたり、自分でも認知症かもしれないと心配していたり。相談者から現実を突きつけられたような気持ちになって、つい感情的になってしまったと考えることもできます。相談者は、認知症について気になりつつもまだ現実的ではなく、どこか他人事だと感じているために、友人のことを気軽に誘えたのかもしれません。
友人は不安を抱えているかもしれないからこそ、2人で認知症カフェに参加できたら理想的ですよね。「興味があるのだけど1人で行くのは不安だから、一緒に行ってくれない?」というように、お願いする言い方で誘ってみるのはいかがでしょうか。それでも断られてしまったら、友人関係を続けるためにも、この件についてはいったん触れないでおいたほうがいいでしょう。
1人で認知症カフェに参加するのは不安とのことですが、ぜひ友人のためにもなるかもしれないという視点で参加してみてほしいと思います。認知症カフェというと、認知症の人だけが集まっている会なのではないかと誤解される方もいますが、基本的に誰でも参加できます。参加者には医療や介護の専門家や地域住民もいるので、悩みや不安を気軽に相談したり、地域の人と交流したりする場となります。今回の友人の反応について、相談するのもいいでしょう。
近所に同年代の友人がいるというのは、今後もお互いの支えになるはずなので、ぜひ良好な関係を続けてほしいと思います。
【まとめ】近所の同年代の友人を認知症カフェに誘ったら「まだ認知症ではない」と断られたときには?
- 友人は今まさに認知症についての不安を抱えていることもあるかもしれないと考える
- 「認知症カフェに1人で行くのは不安だから一緒に行ってほしい」という言い方でお願いする
- 認知症カフェは誰でも参加できるので、友人のためにもなりうると思って1人で認知症カフェに参加する
≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました。≫