介護や認知症はネガティブな話? 本音を口にしてみたら見えてきたもの
《介護福祉士でイラストレーターの、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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介護のことも、認知症のことも、
まだ見たくないし、知りたくない!
だって、老いや死のイメージにつながるから。
わざわざネガティブなことに触れて、
気持ちを落としたくない。
——でも、ほんとうにそうなのかな?
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「介護のことなんて、考えたくもないよ」
その不安を、友人に話してみた。
でも、なぜだろう?
あるがままの気持ちを語ったり、
聞いていたりしたら、
ざわめいていた心の奥に、
温かな光がともったんだ。
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介護や認知症の話題は、
ネガティブなんかじゃない。
——触れたらわかる。
それは、命への向き合いかたを知る、
道しるべなのだから。
「介護や認知症のことはなんだか怖くて、
正直、あまり知りたくない」
まわりからそんな、小さなつぶやきを、
何度聞いたかしれません。
でも同時に、
「人に、その不安をあるがまま話したり、
介護を実際に経験した人の話を聞いたりするだけで、
視点がずいぶん変わるものなんですね」などと、
晴れ晴れした顔を見たことも、
それ以上にあるのだから不思議なものです。
介護や認知症にまつわる情報だけではなく、
そこにある「わたし」の思いが交わされたとき、
介護や認知症は、はじめて自分ごとになるんだなと思います。
介護や認知症を知ることで、
どんなふうに、限られた時間を使うか。
となりの人と、どう生きてゆくか。
そういった問いへの手がかりを見つける人が少なくないことを、
ここに記しておきたいと思います。
私自身も周囲の人たちと、
介護や認知症の不安を分かち合いながら、
道しるべを見つけてきたひとりです。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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