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コマタエの 仕事も介護もなんとかならないかな?

突然の母との結界 誤嚥性肺炎だと思っていたら…いびきのような寝息の正体

駒村多恵さん

タレント、アナウンサーとして活躍する“コマタエ”こと駒村多恵さんが、要介護5の実母との2人暮らしをつづります。ポジティブで明るいその考え方が、本人は無意識であるところに暮らしのヒントがあるようです。母親の寝息に違和感を覚え、夜間救急へいくと、なんとコロナに罹患していることが分かった前編「真夜中の違和感」に続くお話です。

コロナで入院

土曜日の未明に救急車で運ばれた母でしたが、病院に到着すると、いびきのような寝息も治まり、酸素飽和度も問題なく、随分落ち着いてきました。詳しい検査は朝になるので、ずっと付き添わずとも、結果が出る頃に病院に戻ってきたら良いとの助言を受け、私は、少し仮眠をとるため一旦自宅へ。そして、母を連れて帰るつもりで病院に戻りました。

結果を聞くために救急室に入ると、朝勤務の先生がパソコンのモニターをのぞきながら、
「お母さん、悪いって言うほど悪くないんだけど、前回より血液検査の結果が良くないんだよねえ。」
運ばれた病院は、月に一度訪問診療に来てもらっているかかりつけの病院。数年にわたる血液検査の結果がデータとして残っていました。先生が注目したのは好中球の値。直近の昨年11月の健康診断で採血したものと比較して、基準値をほんの少し超えていました。CRP炎症反応(編集部注:CRPとは体内に炎症が起きたときなどに血中に増加するタンパク質)は悪くないけれど、好中球(編集部注:感染症や炎症をおこしている時に増加する白血球)がよくないと、今大丈夫でも今後悪くなる可能性があると説明を受け、
「平日だったら帰っても良いよって言うけど、土日だからなあ。どうします?」

モニターに顔を向ける医師、Getty Images
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確かに、医療機関が手薄な週末。緊急時の対応に不安があります。また、介護タクシーの急な配車が難しいこともあり、入院させてもらうことになりました。

救急室を離れて受付で入院手続きをしていると、「娘さん! 来てもらえますか!?」と看護師さんに呼ばれました。救急室に戻ると、
「お母さん、コロナ陽性が出ました」
「え!?」
誤嚥性肺炎を疑っての入院と思っていたので、予想だにしない言葉に思わず声が出ました。
病院のルールとして、入院時にコロナ検査が必須ということで検査をしたのですが、まさか陽性が出るなんて。
「念のためもう一回やりましょう」
コロナの顕著な兆候もない上、一週間前の訪問診療で6回目のワクチンを打ったばかり。何かの間違いかもしれないと、もう一度検査しました。
「やっぱり、陽性ですね…」
確定した瞬間、シャーッ!と母のベッドを囲むようにカーテンが引かれ、私の視界から母が消えました。その足で看護師さんは勢いよく窓を全開にし、カーテンがフワーッと高く浮かびあがり、一気に風をはらんでたなびくその様をスローモーションのように感じながら、私は立ち尽くしました。急に出来た結界。そこから、母に近づくことはできず、顔を見ることも、背中をさすることも出来なくなりました。ついさっきまで触れていたのに。

カーテンの向こうで処置をする看護師、Getty Images
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しかし、ボーッとしている場合ではありません。我にかえった私は、関係各所に怒涛の連絡。デイサービスと家との往復しかしていないとはいえ、デイの職員の方々、ヘルパーさん、訪問鍼、リハビリの先生など、母が接触した人は意外と多く、日頃からたくさんの方の力を借りて生活が成り立っていたことを改めて思います。最近、母は口が開きっぱなしになっていることが多く、口の中の乾燥を防ぐため、デイでも家でも基本的にマスクをつけていたのですが、それでも周囲の方々の体調が心配です。と、同時に、同居している私は現状元気いっぱいですが、私が感染源の可能性もゼロではない。先生に聞いてみると、「抗原検査キットを今やってみても出ないと思いますよ」。実際、抗原検査では陰性でした。

私の仕事関係者にも連絡し、救急室に戻ると、先生から「いやあ。あの段階でよく(病院に)連れてきたね!」と声をかけられました。こちらこそ、数値はグレーの段階で、よく入院を勧めて下さいました。帰宅していたら発見が遅れて、どうなっていたか。早めに入院出来たらもう安心。そう安堵して私は帰路についたのですが、このあと、コロナはそんな甘い病気ではないことを思い知らされるのです。

<後編へ続く>

前編「真夜中の違和感」はこちら

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