認知症とともにあるウェブメディア

今日は晴天、ぼけ日和

もしかして道に迷っている? 勘違いでもOK! やさしさをためらわないで

《介護福祉士でイラストレーターの、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

あてもなく歩く女性に目を留めた男性

なんだろう、あの人?

手ぶらで薄着で、あてもなく歩いてて、
なんとなく気になるな。

認知症がある人が行方不明になっているって話、
最近よく聞くけど、

あの人はまだ若く見えるし、
そういうのって高齢者だけだよな?

「お困りですか?」と声を掛けた男性

とはいえ、気になって声をかけてみる。

「あの、なにかお困りですか?」

すると、その人は迷惑そうに答えた。

「いえ、別に。大丈夫です。
 そろそろ帰りますから。」

ほら、僕の勘違い。
こんなに普通に話せるし、帰れるって言っている。

つまりこれって、認知症があるわけじゃないよな?
認知症がある人に会ったことがないから、正直わからない!

電話をかけるひと

でも、念のため、警察に一報をいれておこう。

「もしもし、情報提供です。
 おかっぱで、赤い長袖シャツを着た 
 50代ぐらいの女性が、うろうろしてます。

 僕の勘違いかもしれませんが、
 認知症があって、迷っていたら大変だなって…」

勘違いならそれで、OK。
そこには、僕のやさしさが残るだけなのだから。

この人はもしかしたら、認知症があって、
道に迷っているのかもしれない。

そんな場面に出くわしたら、
勇気を出して声をかけてみるか、

判断がつかなければ、周囲の人と声をかけあったり、
近隣の警察に、情報提供の一報をいれたりしてほしいと願います。

私は数度、道に迷われている認知症がある人に偶然出会い、
ご自宅に送ったことがあります。

けれどどなたも「私は認知症です」とはもちろん、
「家に帰れなくなって、困っています」ともおっしゃいませんでした。

私は長年、介護福祉士をしていたので、ご本人の様子からなんとなく、
認知症があるのかどうか、というのは感じられるものですが、

認知症がある人と長く接したことがなければ、
なかなか判断がつかないものです。

それでも以前から時々、周りの知人・友人から

「すれ違った人の様子がおかしくて、
 1人でどこかに歩いていったんだけど、
 認知症があったのかな?」などと

打ち明けられることがあります。

はっ、とします。
その人は、無事に帰れたのだろうか、と。

そして、打ち明けてくれた人たちは今でも、
どこか悔やむ気持ちを残したまま、
忘れられずにいるものなのか、と切なく感じます。


2022年の1年間だけで、警察に届けられた、
認知症やその疑いで行方不明になった人は1万8709人。

もし、出会ったかもと思ったときは、
慎重に、でもためらわずに、
できるかぎりの一歩を踏み出してみませんか?

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

前回の作品を見る

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この連載について

認知症とともにあるウェブメディア