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コマタエの 仕事も介護もなんとかならないかな?

「やっぱり変」いつもと違う母の寝息 緊急電話した午前2時のできごと

駒村多恵さん

タレント、アナウンサーとして活躍する“コマタエ”こと駒村多恵さんが、要介護5の実母との2人暮らしをつづります。ポジティブで明るいその考え方が、本人は無意識であるところに暮らしのヒントがあるようです。「やっぱり変な気がする…」。ある日の夜、寝ている母親の息づかいに違和感を覚えたときのお話です。

真夜中の違和感

在宅介護では、「①に観察、②に観察」。さらに、「何かおかしいな?」という違和感を放置しないことを大切にしています。

その日、私は、デイサービスから帰宅した母の隣で電話で仕事をしていました。パソコンに目を落としながら話していると、「ケホッ、ケホッ」と母の咳が聞こえました。その音が、痰が絡んでいるようで、妙に引っかかって、電話を一旦切らせてもらって様子を見ました。でも、咳き込むくらいで、特に大きな変化はありません。
今日は調子が悪そうだなぁ…。気になりつつも電話をかけ直し、仕事に戻りました。

その夜。寝ている母の息づかいが、いつもと違う気がしました。唾液が絡まっているような、うがいのような音が混じっています。息の漏れではなく「ハー」という声に近い、いびきのような寝息です。「やっぱり変な気がする…」。気になって、私は眠れませんでした。

午前2時を回っても妙な寝息は変わりません。もしかして脳卒中ではないか? 真夜中で気が引けたものの、月に一度訪問診療に来てもらっている病院の緊急連絡先に電話をしてみました。看護師さんに様子を伝えると、酸素飽和度を測るよう指示を受け、結果、90台半ばと正常だったので、様子を見ることになりました。しかしながら、痰が絡んだような嗄声や唸り声が続きます。やっぱり普段と違う違和感は拭えない…。さっき電話したばかりなのに、我ながらこの行動はどうだろうかと思いながらも、救急車を呼ぶかどうかの判断に迷った際に24時間対応してもらえる相談窓口(「救急安心センター事業」、#7119)に電話することにしました。一通りの状況を伝えると、「すぐ向かいます」と即答。10分も経たないうちに救急隊の皆さんが駆けつけてくださいました。

パルスオキシメーター、Getty Images
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母の血圧や酸素飽和度は正常範囲内。ところが、熱が37.6度ありました。
「ちょっと高いですねぇ。」
母の場合、普段からこもり熱の傾向にあり、一時的に37度を超えることはよくあるので、あまり気にしていなかったのですが、改めて言われてみると、37.5度を超えることはそんなにありません。この日は金曜日の深夜。救急隊の方から、「微熱は誤嚥性肺炎の可能性もあるし、土日は医療機関が手薄になるので早めに診てもらう方が良い」との助言を受け、受け入れ病院を探してもらうことにしました。

3時を指す時計、Getty Images
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時計は午前3時半を回っています。深夜に受け入れてもらえないことも多々あります。返事を待っている間は皆無言。ジリジリと長く感じました。
すると、訪問診療で往診に来てもらっている病院から「受け入れ可能」とのお返事が。良かった! みんなが一斉に動き出しました。

実は、母の介護プランを作る際、何かあった時に入院できるよう、訪問診療先を敢えて有床病院にお願いしていました。とはいえ、緊急時に受け入れてもらうのはなかなか難しい昨今。有難い。

搬送時、救急隊の方に、「夜中に電話をするのは申し訳ないと思ったんですが…」と話すと、「全然気にしないで、電話してください!」と真っ直ぐな目で言っていただき、「ああ、私たちは、こういった方々に支えてもらっているんだ」と改めて感謝の念を抱き、ジーンとしました。

病院に到着すると、夜間対応の医師にバトンタッチ。その頃には母のいびきのような声も落ち着き、「この調子なら、朝レントゲン技師が来て検査して、おそらく明日帰れると思いますよ」とのこと。「娘さん、少し休んでレントゲンが終わった頃、また来たらどうですか?」とお気遣いいただき、動き始めた電車で自宅に帰り、2時間ほど仮眠してまた病院に戻りました。
母を連れ帰るつもりで戻ったのですが、この後、とんでもない事態が待っていました。
母が、コロナに罹患していることがわかったのです。

<中編へ続く>

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