「水分はいらん」どうする? 熱中症を防ぐ ヘルパーの粋なアイディア
《介護福祉士でイラストレーターの、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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訪問介護ヘルパーの私。
猛暑がつづく今、高齢の方々へ必ずお願いするのは、
十分な水分補給!
それなのに、
「年をとったら、のどの乾きも感じづらいし、飲みづらいんだよ」と
こばまれてしまうことも、しばしば。
確かに、そうなんだろう。
でもほうっておいては、熱中症まっしぐらだ。
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だからそんなときは、
スポーツドリンクをお渡しし、
私も自前の水筒を手にする。
「おつかれsummer!
この夏ものりきりましょ~う」とにっこり乾杯!
まずは私が、ごくごく。
つられて、仕方ないなぁと
相手も笑って、ごくごく。
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そんな、ふざけたやりとりも、
一緒にやればお互いに、
生きるちからが、湧いてくる不思議。
さあ、この夏も、
あかるく笑って、のりこえて行きまっしょい!
これは家族で介護をしていたり、
訪問介護をしていたりするなかでよくあることと思うのですが、
熱中症になる危険性が高い、高齢の方に水分補給をすすめても、
ひとくちふたくちしか飲んでいただけないことがあります。
そんなとき周囲は、命に関わることなので、つい、
「お願いだからもっと飲んでください!」と
必死になりがちです。
けれど、これが逆効果で、
のどが乾いていないと感じているご本人の、
心のガードを余計に固くしてしまうことも、しばしば。
結局、今回マンガでとりあげたような、ベテランヘルパーさんの明るい関わり、
「一緒に飲みましょう」というやり方が、
お互いに朗らかになれていいな、と感じます。
誰だって、
「体のためです。さあ飲んでください」と
コップ一杯の水を渡されて見守られても、飲みづらいもの。
実は、私も、このベテランヘルパーさんの「お疲れsummer!」の乾杯を見るまでは、
「飲んでください」とすすめるだけの、
一方的になりかねないやり方を漫然と続けていたわけです。
介護は命に関わることだからこそ、私たちは真剣になりがちです。
でも本当は、一緒に笑顔になれる方法をさがすことが、必要なのかもしれません。
今年の夏は、体も心も潤って、
どなたも元気に過ごせますように。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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