友が認知症に 本人が会いたがらず、どうすればいい?【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
訪問介護管理者の滝口恭子さんが、認知症の様々な悩みに答えます。
Q. 長年の友人(76歳)から「認知症になった」と打ち明けられ、「約束も忘れてしまうし、今までのようには会えない」と言われました。あまりにもショックで、その場では大したことを言えなかったのですが、彼女の希望通り会わないほうがいいのでしょうか(74歳・女性)
A. ご本人も不安を抱える中で、迷惑をかけたくないという思いから、相談者に打ち明けたのでしょうね。今は認知症と診断されてから、あまり時間が経っていないのかもしれません。認知症と診断されると、ほとんどの人は精神的にショックを受けて、落ち込みます。誰にも会いたくないという気持ちになるのも当然かもしれません。しかし、時間の経過とともに徐々に病気を受け入れ、友人を必要とするタイミングは来るのではないでしょうか。それまでは、少し様子を見てもいいかもしれません。
その間に相談者ができることとしては、認知症についての理解を深めることです。認知症の人を支えるには、認知症について知ることが何よりも大事です。そのためにおすすめしたいのが、認知症サポーター養成講座の受講です。認知症サポーターには、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする役割があります。認知症サポーター養成のための講座は全国で開催されているので、自治体の事務局に問い合わせてみるといいと思います。認知症は特別なものではなく、2025年には65歳以上の5人に1人は認知症になると予測されています。認知症についてよく知ることは、友人のためだけではなく相談者自身のためにもなると思います。
様子を見つつ連絡を取り、これまでのように会う関係を継続できるといいですね。友人は自分で状況をしっかり話しているので、初期の段階で診断されたのではないかと推測できます。認知症になったからといって、何もかもできなくなるわけではなく、工夫をしながらこれまで通りの生活を続けることもできます。友人は約束を忘れてしまうことを心配しているようなので、約束の日をメモして冷蔵庫などに貼っておいてもらう、前日や当日に相談者から電話をかける、友人の自宅まで迎えに行くなど、対策としてできることはたくさんあります。友人が安心して会えるような環境をつくれるといいですね。
人と会うことは、脳への刺激となって、認知症の進行を緩やかにする可能性があります。また、認知症の人は最近のことは忘れてしまっても、昔のことは比較的覚えている傾向があります。2人で昔の思い出を語り合えば、楽しい時間を過ごせると思います。
【まとめ】長年の友人が認知症になり、「今までのようには会えない」と言われたときには?
- 診断から時間が経ち、精神的に落ち着いてくれば友人の気持ちは変わる可能性があることを理解する
- 認知症サポーター養成講座を受講するなど、自分自身も認知症について理解を深める
- 安心して会えるような環境をつくる
≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました。≫