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今日は晴天、ぼけ日和

人に喜ばれる人生を送ってみたい 介護や福祉に無縁な私のはじめの一歩

《介護福祉士でイラストレーターの、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

様子をうかがうひと

私は一般職で、介護や福祉とは無縁の生活を送ってきた。

でも本当はこれから、福祉に関わることをしてみたい。

そして、できることなら、ほんのわずかでも
人に喜ばれる人生を送ってみたい。

でも、それはひとりよがりの承認欲求だろうか。

ためらうひと

私は「認知症当事者さん」や「ご家族さん」にも実際に会って、

お話を聞いてみたい。

なにか、私にできることが見つかるかもしれないから。

けれどそんな個人的な理由で、
認知症カフェや勉強会に参加してもいいのだろうか。

私には支援の知識も、ケアの技術もないというのに。

こんにちは

結局、私は自分の生活が一番大切だし、

大きな目的もない。

でも、こんなに気持ちが揺れるのは、
認知症も介護も、未来の私のことだって、
心の底では気づいているから。

誰にはばかることもない。
私は私なりに、はじめの一歩を踏みだそう。

「私は介護や福祉に無縁なんですが、
 認知症カフェや介護のおはなし会に参加しても構わないものですか?」

今まで何度、そう聞かれたことでしょう。 

そのたびに「もちろんです!」と即答してきました。
参加範囲が絞られていなければ、ほとんどの集まりが、両手を広げて迎えてくれるはずです。

なぜなら、認知症カフェや、
介護のお話会や勉強会を開催している方々、
そして認知症当事者さんから、

「介護や認知症を知らない人たちにこそ、知ってほしい!来てほしい!!」と、
切なる願いを伺うことが、とても多いからです。

ただ残念ながら、こんなこともありました。

以前、勇気を出し、参加された方から、

「認知症カフェには、経験豊富な方や専門職の人たちばかりで、内輪で話が盛り上がっていた。
 勉強にはなったけれど、私が福祉に関わるのは、場違いな気がした」と
打ち明けられたのです。

それは、介護職をしながら場づくりをしている私自身も、
現状を顧みるいい機会になりました。

「ちょっとだけ、福祉に興味をもった」

そんなかけがえのない気持ちを、
お互いに大切にできるような場を
つくれたらと思いますし、

すでに各地ある、気軽に立ち寄れる福祉の交流の場が
もっとどなたにも知られたらと願います。


自分をより幸せにするために、
福祉の交流の場に行くことに、なんの遠慮がいるでしょうか。
 
認知症も介護も、ひとごとではなく、
なによりも自分自身のことなのだから。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

前回の作品を見る

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