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コマタエの 仕事も介護もなんとかならないかな?

いつできた?母の額にコブと内出血 原因不明のモヤモヤを解決するには

駒村多恵さん

タレント、アナウンサーとして活躍する“コマタエ”こと駒村多恵さんが、要介護5の実母との2人暮らしをつづります。ポジティブで明るいその考え方が、本人は無意識であるところに暮らしのヒントがあるようです。今回は、「あることを証明する」のは「ないことを証明する」ことにもつながるテクノロジーのお話です。

介護もデジタル技術と共存へ

鬱屈したニュースが続く中、久々に日本中が湧いたのが、サッカーW杯日本代表の活躍。感動し、涙し、活力をもらった方も多かったのではないでしょうか?
今大会はVAR(ビデオアシスタントレフェリー)も注目されました。対スペイン戦で決勝点に繋がった三笘選手の折り返し。あの、ラインに残った1.88ミリは、ボールに内蔵されたセンサーと会場に設置された12台のカメラによるものとか。デジタル技術の進歩と共生に唸った瞬間でもありました。

介護業界においても、デジタル技術の活用は増えています。サッカーほどではないものの、離床センサーや見守りカメラを、施設だけでなく一般家庭でも導入するお宅は以前より多くなっているそうな。
我が家も母が一人で家にいるときが心配で、見守りカメラについて調べたことがありました。ただ、介護度が進み、自分で転倒するリスクが低くなってからの設置は、訪問介護を監視するようで、信頼していないような気がして、検討自体をやめました。

ところが、その考えが揺らぐ出来事がありました。
先日、私が日帰り出張の仕事を終えて帰宅し、母の様子を見にベッドへ行くと、額に、朝にはなかった皮下出血がありました。内出血は額の1/3くらいの大きさまで広がっており、中心部は1センチ程隆起しています。
「いったい何があった!?」
その日、母はデイサービスに行き、帰宅時は臨時利用のヘルパーさんが迎え、就寝ケアをしてくれていました。

連絡事項がびっしり埋まっている連絡ノート。しかしコブについては……?
連絡事項がびっしり埋まっている連絡ノート。しかしコブについては……?

連絡ノートを見てみると、「右頭部、コブ?らしきあり」という記述のみ。が、もはや「らしき」という表現は当てはまらない大きさです。本人は夜のお薬でぐっすり眠っています。どんな状況だったのかをケアマネジャーさんを通してヘルパーさんに問い合わせると、「デイサービスから帰ってきて、気づいたらコブがあった。玄関で見つけた」との回答。デイサービスに問い合わせると「デイを出たときに、コブはなかった」との回答。双方、わからないというのです。

額に内出血ができることはこれまで何度かありました。私が別の部屋にものを取りに行っている間、母は座った姿勢が保てなくて上半身が傾き、そばにあった空気清浄機に頭をぶつけてお岩さんのようになってしまったり、デイサービスでも「(転んで頭をぶつけて)今、病院に画像を撮りに行っています」と連絡があったり、老人保健施設でも何度か転倒の報告がありました。思い返せば結構、頭をぶつけていますが、原因不明というのは在宅介護15年目にして初めてです。

この出来事があって、初めて家にカメラを取り付けることを考えました。診察の手掛りとなる情報が皆無で、緊急を要するのかもわからず困ったからです。ぶつかっていたのなら、その場所をスポンジで覆ったり、「ここ、ぶつかりやすいです!」と他のヘルパーさんに注意喚起も出来ます。次の策を打てないことももどかしい。

ただ、これは、あくまでも部屋の中でぶつかっていたと仮定した家族の心情の話。
もし、私が訪問介護の仕事をしている立場だったらどう思うだろうか。
誠実に仕事をしているのに訪問先の家族にあらぬ疑いをかけられたら、ショックで仕事を止めてしまうかもしれません。

その意味で、カメラがあれば、ヘルパーさんは潔白を証明できるし、家族はどこでぶつかったかを客観的に知ることが出来るので、双方にとって良いのかもしれないと。今回は怪我の事例ですが、物盗られ妄想がある認知症の利用者さんから突然疑われることもあるでしょう。
どの業界もそうですが、デジタル技術の進化は急速で、気がつけば頼りがいのある存在になっています。プライバシー、予算、様々問題はありますが、介護業界もデジタルの力を借りて改善できることが色々ありそうと感じました。

次回:おせちもケーキも諦めない!流動食になった母に作るお正月料理

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