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コマタエの 仕事も介護もなんとかならないかな?

事業所の規模縮小 母が過ごす場所がない!? 日曜に仕事する際の最終手段

駒村多恵さん

タレント、アナウンサーとして活躍する“コマタエ”こと駒村多恵さんが、要介護5の実母との2人暮らしをつづります。ポジティブで明るいその考え方が、本人は無意識であるところに暮らしのヒントがあるようです。今回は、介護の魅力を伝えるシンポジウムと、介護者にとって心強い制度のお話です。

シンポジウム

先日、介護労働安定センターの30周年記念事業「介護労働シンポジウム」に参加しました。MC的なポジションが多い中、今回はパネリスト。年を重ねても新たなことに挑戦する機会をいただけることは幸せです。
議題は「介護労働の現状と未来」。私からは、在宅介護をする中で実感した課題を実例としてお話ししました。

私は基本的に、平日の日中に仕事をするようにしています。そんな中、東京都の介護職員就業促進事業イベントへの参加依頼をいただいたのですが、それが日曜日でした。介護の仕事は大変というネガティブなイメージが前面に出ているなかで、魅力を伝えようというもの。意義に賛同し、何とか参加できないかと、ケアマネジャーさんに母の預け先を相談しました。

第1希望はデイサービス。しかし、日曜日に営業している事業所は少なく、母の身体状態で受け入れ可能な施設は1カ所のみ。そこも定員オーバーで、キャンセルが出ない限り難しいとのことでした。他にも、以前は受け入れてもらっていた事業所があったのですが、人材不足で規模を縮小したそうです。
次に考えたのがショートステイ。以前は2カ所を利用していたのですが、その内の1カ所は職員の退職が相次いだことで認可が下りなくなり、規模縮小。もう1カ所も毎月定期的に宿泊しているかたが優先で、単発の我が家は優先順位が低く“見込み薄”とのことでした。

大妻女子大学名誉教授の是枝祥子先生、東洋大学ライフデザイン学部准教授の高野龍昭先生、エクセレントケアシステムの執行役員で兵庫県立大学大学院講師の柴垣竹生先生らと一緒に、「介護労働の現状と未来」というテーマでディスカッションしました
大妻女子大学名誉教授の是枝祥子先生、東洋大学ライフデザイン学部准教授の高野龍昭先生、エクセレントケアシステムの執行役員で兵庫県立大学大学院講師の柴垣竹生先生らと一緒に、「介護労働の現状と未来」というテーマでディスカッションしました

そこで最終手段。今回は「レスパイト入院」という形で病院に入院させてもらうことにしました。
病院によっては、本人の治療や検査目的ではなくとも短期入院できるところがあります。介護者が旅行や趣味を楽しみたい、あるいは日々の介護に疲れてしまったので預かってほしいという場合でも利用できる、家族が限界を超えないための、在宅介護を支援するシステムのひとつ。医療保険で利用できます。

実は5年ほど前、そろそろ訪問診療をお願いしようと考えていた際、何かあった時のためにすぐ入院できるよう、病床があることを前提に訪問診療をしてくれる医療機関を決めました。もちろん普段から付き合いがなくともレスパイト入院は可能ですが、関係性があることで受け入れまでがスピーディーになります。
それが功を奏したのは、私がコロナに感染した時です。濃厚接触者になった母の介護サービスが全てストップした中で、私は保健所の指示でホテル療養に行かねばならず、母の行き場に困りました。この制度があったことでどれだけ救われたことか。在宅介護者にとっては最後の砦。心強い制度です。

なんとか今回は日曜日に預けられる算段がついたものの、私は介護就労を促したくとも、介護人材不足で促しに行けない現実に直面しました。
土日がお休みとは限らない職種で働いている方々が介護に直面すると相当大変なのだと実感する一方、家庭の事情で平日勤務を希望する人が大半の事業所としては、介護当事者を受け入れたくとも受け入れられないのが現状ということも知りました。私自身も基本的には平日勤務希望なので、とても気持ちがわかります。

シンポジウムでは、デイサービス、ショートステイ、訪問介護などをひとつの事業所でフレキシブルに利用できる小規模多機能型居宅介護を利用すれば?との案もいただきました。
実は、私も見学に行って検討したこともあります。しかし、小規模多機能型を利用するためには、ケアマネジャーをはじめ、現在利用している全てのサービスをその事業所に変更しなくてはなりません。今のチームとの付き合いは10年以上に及び、母も馴染んでいます。すべて変更するのは母にとってマイナスと考え、利用しないことにしました。実際、ダメージを受けるという指摘もあると、施設を運営されている登壇者のお話もありました。普段のチームを解散せずに利用できるなど柔軟な仕組みがあると、また話は別なのですが。
最善を探りながら、綱渡りは続きます。

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