77歳一人暮らしの姉の部屋に健康器具や食品 浪費が心配【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
社会福祉士の熊谷恵津子さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。
Q.姉(77歳)は夫を亡くし、一人暮らしなのですが、先日自宅を訪ねたところ、見慣れない健康器具が置いてあったり、健康食品の定期便をいくつも契約していたり、無駄遣いが多く、心配です(73歳・女性)
A.お姉さんはもしかしたら、夫を亡くしてさみしさを感じているのかもしれません。それを埋めるために無駄遣いをしていることも考えられます。そんなときこそ、家族の出番です。短時間でもいいので、できるだけ頻繁にお姉さんの家に顔を出せるといいですね。「何かしてあげなくては」と気負う必要はなく、「大丈夫?」「困っていることはない?」など、ちょっとした声がけをするだけで、お姉さんは安心すると思います。
また、金銭管理ができなくなるというのは、認知症の重要なサインでもあります。認知症の専門医を受診するほか、地域包括支援センターにお姉さんの今の状況を説明し「気にかけてほしい」ということを伝えておくといいと思います。
気をつけなければいけないのが、認知症高齢者などをねらった訪問販売や電話勧誘販売などです。高齢者のお金をねらう悪質な業者の情報網によって、集中的にターゲットにされてしまうこともあります。こまめに家族や知り合いらによる人の出入りがあれば、こうした業者は警戒するはずです。
お姉さんの自宅に行ったときにぜひやっていただきたいのが、メモを残すということです。例えば「困ったことがあったらいつでも電話してね」「無駄遣いしないでね」など一言でかまいません。直接言われると聞き流してしまうこともありますが、メモなら残ります。ふとお姉さんの目にメモの言葉が入ってきたときに「一人じゃないんだ」と心強く感じられると思います。目につきやすいところに貼っておけば、訪問販売の業者などに対しても牽制(けんせい)になるはずです。
訪問販売や電話勧誘販売は、契約の申し込みや締結をしたあとも、8日以内であれば無条件で申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる「クーリング・オフ」制度があります。おかしな点があれば、まずは近くの消費生活センターに相談しましょう。
いずれにしても早めの対応が重要です。無駄遣いをしているというのは、何かしらのサインの可能性がありますので、しっかり目配りできるといいですね。
【まとめ】夫を亡くして一人暮らしの姉。最近無駄遣いが多くて心配なときには?
- さみしさを埋めるために無駄遣いをしているかもしれないので、こまめに自宅を訪問して声がけをしたり、メモを残したりする
- 金銭管理ができなくなるのは、認知症の可能性も。専門医を受診するほか、地域包括支援センターに状況を伝える
- 悪徳業者のターゲットにされている場合もあるので、おかしな点があれば早めに近くの消費生活センターに連絡する