最近、家事や外出がおっくうに 無職の夫は何もしません【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
地域包括支援センターでセンター長を務める由井洋子さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。
Q.最近、出かけたり、家事をしたりするのがとてもおっくうです。夫(77歳)にも少しは家事をしてほしいのですが、働いているわけでもないのに、一切やろうとしません。1人なら気楽なのに、しんどいです(74歳・女性)
A.年齢を重ねると体力が落ちてくるので、外出や家事がおっくうになるのは自然なことです。近くに家族が住んでいれば手伝いを頼めますが、それが難しければ、自費になりますが週に1、2回でもホームヘルパーに依頼してはいかがでしょうか。
私は地域包括支援センターに勤めているので、地域の住民の家に訪問する機会があります。事前に「家が散らかっていて」と言われ、実際に訪問すると、私からすれば十分に掃除が行き届いていると感じるのはよくあることです。「部屋のすみずみまできれいにしなければ」といった意識が強いのかもしれませんね。
いつも完璧にきれいである必要はないですし、料理についても1日1食は宅配サービスを利用するなど、体力に合わせて手を抜いてもいいと思います。
ただし、おっくうなことをすべてやらないでいると、要介護の手前である「フレイル」の状態になる可能性が高くなります。おっくうなことを続けることが、介護予防につながるので、無理のない程度にできることは、続けてほしいと思います。
夫は以前は家事をしていたのに、最近しなくなったのでしょうか。それとも以前から家事をしないタイプなのでしょうか。前者であれば、認知症や高齢期のうつが心配ですね。一度かかりつけ医に相談してみるといいでしょう。後者の場合、これから夫に変わってもらうのは難しいかもしれませんね。手伝ってほしい場合は、「体がしんどいから家事をやってほしい」ときちんと伝えて、食器を片付ける、庭の花に水をあげるなど、簡単なことから始めてもらうといいと思います。
夫が家にいるからこそ、何もしないことにイライラしてしまう可能性もありますよね。夫がデイサービスなどに通っていて日中不在なら、相談者の気持ちも違うのかもしれません。最近はリハビリがメーンのところや囲碁や将棋ができるところなど、男性が通いやすいデイサービスが増えているので検討してみるのもいいと思います。デイサービスを利用できなかったとしても、地域の介護予防教室や高齢者サロンなど、地域の集いの場を利用できるといいですね。
夫も家で何もしないでいると、フレイルの状態になるのが心配です。これから先も夫婦2人で自立した生活を続けるために、お互いに介護予防に目を向けて、生活を見直してはいかがでしょうか。
【まとめ】家事や外出がおっくうなのに、夫が何もしてくれないときには?
- 高齢になって体力が低下している可能性があるので、これまでと同じようにするのではなく、ホームヘルパーに依頼したり、家事の一部を省略したりする
- 夫には「体がしんどいから家事を手伝ってほしい」と伝えて、簡単なことだけやってもらう
- 夫にデイサービスや地域の介護予防教室などに通ってもらう