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今後のコロナワクチンどうする?(後編)否定と肯定の板挟み 後遺症も

ワクチン接種、Getty Images

新型コロナウイルス流行禍、急ぎ開発されたコロナワクチン。接種は推奨されているものの、最終的には個人の任意。感染拡大の緊迫感の中で一人ひとりが決断を迫られています。しかし何が正解なのか。まだまだ続くコロナ禍、今の時点でコロナワクチンをどう考えるか。「新型コロナワクチンに関するアンケート」の回答者に行ったインタビュー後編は、ワクチンに慎重な3人の意見です。
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※「新型コロナワクチンに関するアンケート」 回答結果はこちら

ワクチン「否定派の夫」と「肯定派の義母」との板挟み

愛知県在住の浜口陽子さん(仮名、48)は夫(55)と2人暮らし。2年前に乳がんの手術を受けていたことから主治医にも勧められ、1、2回目のコロナワクチンは接種しました。

「ワクチンが出たばかりの頃はあまり深く考えなかったのですが、私自身のコロナ重症化リスクが不安で打ちました」

実は、夫が当初からコロナワクチン否定派。開発期間が短いことから安全性を憂慮してのことだそうで、夫自身は1回も接種していません。妻の接種について複雑な思いを抱きながら阻止はしませんでしたが、その後夫婦で話し合いを重ね、今では2人とも否定派です。

そんな中、今年2月に夫が新型コロナウイルスに感染。浜口さんも濃厚接触者になり、夫婦で2週間の自宅療養をしました。夫は高熱が数日続いたものの回復し、浜口さんも感染は免れたと言います。

そして5月には親族の結婚式が。義母をはじめ集まった親戚はコロナワクチンを接種していて、未接種の夫の参列を巡って少々揉めたそう。

「息子自身のためにも接種してほしいというお義母さんと、接種するくらいなら出席しないと言い出す夫の間に入って困りました。どちらの言い分もとてもよくわかるから」

話し合い、最終的には無事、夫ともども参列して親族の門出を祝うことができました。

「我が家は子どもも高齢者もいないので特に必要を感じず、インフルエンザの予防接種もしたことがありません。でも、世の中にあるワクチンは無条件に『安全なもの』と思い込んでいました。その安全性を巡ってこんなに悩むなんて」と、改めて2年余りのコロナ禍を振り返る浜口さん。3回目の接種はさらに考えを重ね、受けないことに決めているそうです。

最終的には自己責任 冷静さを欠くのはキケン!

北海道在住の工藤大介さん(仮名、40)も、ワクチンの安全性への懸念から接種しないひとり。

「時間が経過してからの副反応など、通常、行われるはずの検証が充分されていないもの。重篤な副反応も出ているのに新型コロナワクチンが推奨されるのは解せない。ワクチンの危険性とウイルスの危険性を天秤にかけて、僕は接種しません」

妻(39)は勤め先の意向に沿って2回接種しましたが、10歳の娘には接種させない予定。また、工藤さんが経営する会社の常駐スタッフ4人に自身の考えを押し付けることはなく、接種した人、しない人は今のところ2人ずつだそう。

とはいえワクチン接種に対する考え方はセンシティブで、親しい人の間にも目に見えない軋轢も生みがちです。工藤さんが熟慮して出した決断に、妻は最初、遠慮して自身の接種を伏せていました。

「妻がワクチンの副反応で発熱したときは、コロナ発症か!とちょっと警戒しました。先に言っておいてよ(笑)」

工藤さんは以前から興味のあった感染症やワクチンのことについて、自分なりにいろいろ調べたそう。しかし新型コロナウイルスのワクチン接種を一般の生活者が考えるための材料としては、世の中に出ている情報があまりに散漫だと憂えます。

「メディアも“コロナは怖い”と煽っている感じがありますよね。本来は本当に大騒ぎすべきことかを検証する立場だと思うけど。生活者側もこれがいいと思ったら、必ずその裏で起こることもしっかり考えた上で冷静に選択すべきだと思います」

理解してもらえなくてツラい! ワクチン後遺症を治療中

「とにかく具合が悪い。新型コロナワクチンは2度と打ちたくないです」と話すのは愛知県在住の多田香織さん(仮名、48)。昨年8月、2回目のワクチンを接種した後、初めはよくいわれる発熱や腕の痛みがあり、5日目から強い胸の痛みが出始めました。副反応の事例にも「胸痛」はありますが、意識朦朧、歩けないくらいだったという多田さん。まず循環器科を受診し、その後、大学病院などにも行き、心電図、レントゲンなど詳細な検査を行いましたが、いずれも異常なし。

「痛みの原因がわからないのも不安でしたが、何よりツラかったのはどの医師もワクチンの副反応だと認めてくれなかったこと。『気のせいでは? 大げさな……』という感じが嫌でした」

多田さんを悩ませているのは胸痛のほか、頭の中にモヤがかかったように集中力や思考力が低下する「ブレインフォグ」と呼ばれる症状。多田さんは、病院で受診申し込みを書かなければならないのに説明書きが頭に入ってこない、自分の住所や電話番号、名前まで出て来ないといったことから気づいたといいます。

「この状態を解決するための情報収集にいちばん役に立ったのはツイッター。ワクチン接種後に同じように苦しんでいる仲間が集まってきて情報交換をしているのですが、私はまだ軽いほう。歩けない人や寝たきりの人もいるんです」

そして、症状改善の糸口を見つけられたのもツイッター仲間の情報から。

「上咽頭擦過療法(EAT)というもので、喉の奥に薬剤を擦りつけます。週3回通ってブレインフォグはずいぶんよくなってきました。この療法ができる耳鼻科にたどり着き、その先生に『ワクチンの後遺症だね』と初めて言ってもらえて本当に救われました」

胸痛、ブレインフォグとも最盛期の3割ほどに減ったものの、まだ完治はしていません。今年6月、国の予防接種後健康被害救済制度※に申請もしましたが、審査などを経て救済金が給付されるまでにはかなりの時間がかかると言われたそう。多田さんは、「国にはワクチンについての情報、コロナ医療対策に投じられた16兆円の使途や効果も、ちゃんと検証して説明してほしい」と強く訴えています。

予防接種健康被害救済制度

予防接種法に基づく予防接種を受けた人に健康被害が生じた場合、その因果関係を厚生労働大臣が認定した場合に市町村より給付が行われる。申請手続きは予防接種時に住民票が登録されていた市町村へ。
予防接種健康被害救済制度について 厚生労働省(mhlw.go.jp)

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