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高齢母(85)の遠距離買い物 ヘルパーの同行はNG?【お悩み相談室】

銀座、Getty Images
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地域包括支援センターでセンター長を務める由井洋子さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。

Q.一人暮らしの母(85歳)は、電車に乗ってデパートに行くのが好きなのですが、足腰が悪く移動が心配です。ホームヘルパーに同行してもらうことはできますか?(55歳・男性)

A.お母さんはデパートに行くという楽しみがあっていいですね。その楽しみをできるだけ長く続けられるといいですよね。

介護保険サービスの訪問介護(ホームヘルプ)は、利用者ができる限り自宅で自立した生活を送れるように、ホームヘルパーが支援するサービスです。要介護認定を受けると利用できますが、利用する際にはかかった費用の1割(一定以上の所得がある人は2割もしくは3割)を負担します。

サービスの範囲は決められていて、同行については生活必需品の買い物であれば、認められています。しかし、デパートとなると生活必需品ではない可能性が高いので難しく、ホームヘルパーの同行を依頼する場合は全額自費となります。自費だと時間や内容に制限はありませんが、費用は高くなります。

地域や自治体では、同行のボランティアを実施していることもあります。地域包括支援センターや社会福祉協議会で確認してみるといいでしょう。

大手のスーパーマーケットなどでは、認知症や高齢者の人をサポートする取り組みを実施しているところもあります。企業が社員に向けて認知症に対する正しい知識と理解を持つ「認知症サポーター」の養成講座を開催したり、社員が介助技術の資格「サービス介助士」を取得したりしていることもあります。私も企業が開催する認知症サポータ―養成講座の講師を務めることがあり、買い物などの際に高齢者や認知症の人のサポートをしてほしいということはお伝えしています。高齢になっても認知症になっても、当たり前のようにサポートしてもらえるような世の中になるといいですよね。

デパートでは「お客様からの意見・要望」を受け付けているので、足腰が悪いお母さんの館内での移動のサポートなど、要望を伝えてもいいかもしれません。高齢化社会において、お母さんのような要望はデパート側にとっても貴重な声になると思います。

この先もお母さんが安心、安全にデパートに出かけられるといいですね。

【まとめ】デパート通いが好きな母。足腰が悪いので、ヘルパーに同行を依頼したい

  • 介護保険サービスの訪問介護は利用できない可能性が高い。自費で訪問介護事業所に依頼する
  • 地域や自治体で同行のボランティアを実施していることもあるので、地域包括支援センターや社会福祉協議会で確認してみる
  • デパート側に館内での移動のサポートなど、要望を伝える

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