終活は縁起が悪いと怒る父 どのように話し合えばいい?【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
地域包括支援センターでセンター長を務める由井洋子さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。
Q.父の日のプレゼントとして、85歳の父にエンディングノートを贈りました。その場では受け取りましたが、後で母には「縁起が悪い」と怒って話していたようです。父がこれからどのように生きたいのか、どのように最期を迎えたいのかといったことを知っておきたいのですが(56歳・男性)
A.私が勤務する地域包括支援センターでも、自治体で作成したエンディングノートを配布しています。窓口に相談に来られた方に「元気なうちに書いておいたらいかがですか?」と伝えますが、誰にでも渡すわけではありません。やはりお父さんのようにエンディングノートに対してネガティブな印象を持っていて、気分を害される方もいるからです。
現在は、将来の変化に備えて、医療や介護などについて計画しておく「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」という考え方が広まっています。終末期の医療の選択や最期はどこで過ごしたいのかといった希望を伝えておくことで、家族や医療・介護チームは最期まで本人の意思を尊重することができます。
もしかしたらお父さんには、「どのように生きたいのか、どのように最期を迎えたいのかを知っておきたい」という相談者の気持ちが伝わっていないのかもしれませんね。エンディングノートによっては遺産や葬儀のことがメーンの場合もあるので、お父さんはそうしたイメージを持っていて「縁起が悪い」と感じた可能性もあります。まずは息子としての気持ちを伝えるといいと思います。
エンディングノートはあくまで思いを残すための手段の一つなので、ノートにこだわる必要はありません。正月など家族がそろうタイミングで、みんなで話し合ってお父さんの気持ちを聞き出し、それを相談者が書き留めておいてはいかがでしょうか。お互いの思いを率直に伝えあうほうが、お父さんの人生観や価値観を知る機会になるかもしれません。
エンディングノートをプレゼントしたことを機に、自然とお父さんやお母さんのこれからについて、話し合えるようになるといいですね。
【まとめ】父にエンディングノートをプレゼントしたら、気分を害されたときには?
- お父さんの意思を最期まで尊重したいという気持ちを伝える
- 家族がそろうタイミングで、両親のこれからについて話し合い、その内容を書き留めておく