「もう、無理」 介護を休んだ途端あふれ出た本音 それは限界の証拠
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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今朝から父が1週間、
ショートステイに行った。
ようやく、介護が休める!
羽を伸ばそう、ひと息つこう。
そう思ったのに……。
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「もう、疲れた。もう無理だ」
ひと息ついた途端、何故か
普段抑えていた思いがあふれ、
どんどん落ち込んでいく。
こんなことなら、ショートステイなんて
使わなければ良かった!

ちがう、そうじゃない。
心身がゆるんだからこそ、
顔を出せた、私の素直な気持ち。
休んだからこそ、抱きしめてあげられる。
私、がんばったね、がんばってるね。
ショートステイとは、
自宅で介護されている人が、
介護施設などに宿泊できるサービスです。
私が介護現場で働いていたとき、
一度、ショートステイを利用したのに、
その後、全く使わなくなったというご家族が言いました。
「親を預けるのが親不孝なようで申し訳なかったし、
私も休んだら、たまった疲れが一気に出て、
心が不安定になってしまった」
正直なお気持ちでしょう。
それでもやはり、当時を振り返ると、
利用の継続を勧めるべきだったと悔やまれます。
施設やショートステイを利用することの申し訳なさ。
それは口にしなくとも、
「私、ひとりでがんばらねばならない」
という責任感の表れかもしれません。
けれど休んだ時にようやく、
疲れやネガティブな感情が出てくるというのは、
限界を超えている証拠です。
がんばる心身は、介護する本人からも、
痛みや疲れを隠しますが、
隠しておくだけで、たまってゆきます。
ゆるんだ時こそ、
心のこわばりが、ほどけていく時。
利用できるものは利用して、
ご自身をこれ以上、叱咤(しった)せず、
ゆるんでゆるんで。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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