「もう、無理」 介護を休んだ途端あふれ出た本音 それは限界の証拠
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
![はああ「休める・・・」](http://p.potaufeu.asahi.com/29c0-p/picture/26911089/89ad16996672b1536b56197c351a0d96.jpg)
今朝から父が1週間、
ショートステイに行った。
ようやく、介護が休める!
羽を伸ばそう、ひと息つこう。
そう思ったのに……。
![皿洗いするひと](http://p.potaufeu.asahi.com/900f-p/picture/26911090/7641bb7b3dfa7991bf460499350a9e66.jpg)
「もう、疲れた。もう無理だ」
ひと息ついた途端、何故か
普段抑えていた思いがあふれ、
どんどん落ち込んでいく。
こんなことなら、ショートステイなんて
使わなければ良かった!
![エプロンを外し、椅子に座るひと](http://p.potaufeu.asahi.com/7483-p/picture/26911091/7e83ed71ee37459007abbc5ca861fd68.jpg)
ちがう、そうじゃない。
心身がゆるんだからこそ、
顔を出せた、私の素直な気持ち。
休んだからこそ、抱きしめてあげられる。
私、がんばったね、がんばってるね。
ショートステイとは、
自宅で介護されている人が、
介護施設などに宿泊できるサービスです。
私が介護現場で働いていたとき、
一度、ショートステイを利用したのに、
その後、全く使わなくなったというご家族が言いました。
「親を預けるのが親不孝なようで申し訳なかったし、
私も休んだら、たまった疲れが一気に出て、
心が不安定になってしまった」
正直なお気持ちでしょう。
それでもやはり、当時を振り返ると、
利用の継続を勧めるべきだったと悔やまれます。
施設やショートステイを利用することの申し訳なさ。
それは口にしなくとも、
「私、ひとりでがんばらねばならない」
という責任感の表れかもしれません。
けれど休んだ時にようやく、
疲れやネガティブな感情が出てくるというのは、
限界を超えている証拠です。
がんばる心身は、介護する本人からも、
痛みや疲れを隠しますが、
隠しておくだけで、たまってゆきます。
ゆるんだ時こそ、
心のこわばりが、ほどけていく時。
利用できるものは利用して、
ご自身をこれ以上、叱咤(しった)せず、
ゆるんでゆるんで。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
![](http://p.potaufeu.asahi.com/nakamaaru/img/nakamaaru450_450.gif)