「心配するな」が余計に心配 母の入院を知らせぬ父【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
介護福祉士、介護支援専門員の山城裕美さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。
Q.両親が地方で2人暮らしなのですが、近くに住む親戚から最近母(78歳)が体調を崩して入院したことを聞かされました。父(81歳)に確認すると「心配するな」の一点張りで、いろいろ質問しても詳しく教えてくれません。心配をかけたくないのだと思うのですが、こちらもすぐに会いに行けるような状況ではなく、不安です(54歳・女性)
A.相談者がすぐに来られるような状況ではないからこそ、「心配だけかけても仕方ない」と思い、話さないんでしょうね。特にこの年代の男性は、家を出た子どもに心配をかけたくないという気持ちが強いように感じます。お母さんの入院の件は、親戚の方が知らせてくれてよかったですね。
まずは、お母さんの病状を知るために、入院されている病院に直接連絡をとってみてはいかがでしょうか。娘だとわかれば、詳しい話を教えてくれると思います(*)。また、最近は多くの病院がオンライン面会などをとり入れています。お母さんの顔を見て話せると、より状況がわかるのではないでしょうか。
* 病院内にある「地域連携室」や「退院調整室」などと呼ばれる、入退院の手続きやその後のケアといった各種相談にのってくれる窓口をおすすめします(2022年6月2日追記)
お父さんに「今日はオンライン面会でお母さんの顔を見られたよ」などと伝えると、会話が広がるきっかけにもなります。お父さんも気にかけてもらえるのはうれしいはずなので、詳しく話してもらえなくても、めげずにこまめに連絡をとってほしいと思います。毎日のように電話で話すことを習慣にしていけば、お父さんも少しずつ心配ごとなどを話してくれるようになるかもしれません。
お母さんの入院中、一人暮らしになっているお父さんの生活も心配ですね。幸い近所に親戚の方がいるので、一緒になってお父さんを見守っていくような体制をつくれるといいと思います。
お母さんの退院後も高齢の両親の2人暮らしは続いていくでしょう。これを機に両親、相談者、さらに親戚も含めて、情報を共有しあったり、なんでも話し合えたりする関係ができるといいですね。
【まとめ】入院しているお母さんの状況をお父さんが話してくれないときには?
- お母さんが入院している病院に直接連絡して、病状を詳しく聞く
- たとえ話してくれなくても、お父さんにこまめに連絡をとり続ける
- 近所に住む親戚とともに両親を支えていく体制をつくる