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亡き母のことを話し続ける父 認知症になるのが心配【お悩み相談室】

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介護福祉士、介護支援専門員の山城裕美さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。

Q.1カ月前に母(77歳)が急逝し、父(78歳)がショックを受けています。母がまだ生きているかのような発言をしたり、身だしなみに気を使わなくなったりして様子が変なのですが、このまま認知症になることはあるのでしょうか。こまめに顔を出してはいますが、一人暮らしになったので心配です(男性・55歳)

A.こまめに顔を出されているとのこと、とてもいいことだと思います。お父さんは、長年連れそった妻を亡くした大きな喪失感があり、ぽっかり空いた心の穴をなかなか埋めることができない状況ではないでしょうか。このような時に息子として何ができるのか悩まれると思います。お父さんと一緒に「お母さんはこんな人だったね」「若いときはどうだったの?」「お母さん、よくこんな料理を作ってくれたね」と話しているうちにお母さんの顔が浮かび、「今の自分の姿を見て妻はどう思うかな」「こんな自分の姿は望んでいないのではないか」と考えることもあるのではないでしょうか。

亡くなった直後は、親戚や友人もお母さんとの思い出話をしたと思いますが、だんだんお母さんの話題は少なくなっていき「一人暮らしで大丈夫?」などお父さんを気遣うような話題に変わっていくものです。お母さんの思い出話は、息子だからこそできること。3カ月くらいは、とことん思い出話をしてほしいと思います。

父と息子の関係は、難しいことが多いですよね。これが娘の場合だと、父親は娘と接しているだけで、自然とお母さんのことを思い出すようです。もし相談者に姉や妹がいれば、こまめに顔を出してもらうか、遠方に住んでいるのであればビデオ通話などをしてもらうように頼むのもいいかもしれません。

お母さんがまだ生きているかのような発言をするとのことですが、もしかしたらお父さんは、お母さんが急逝してからよく眠れていないのかもしれません。睡眠不足だと夢と現実が混同するようなことがあります。「最近眠れている?」とお父さんの睡眠の状況を聞いてみるといいと思います。

3カ月以上経っても相談内容のような症状があったり、怒りっぽくなるなど性格が変わったり、様子が変であれば、まずかかりつけ医に相談するといいでしょう。相談者が心配している通り、お母さんの死をきっかけに認知症を発症するという可能性はゼロではありません。

お父さんが立ち直って前向きになれるかどうかは、今が正念場かもしれません。父子でお母さんの人生を振り返ることは、母親を亡くした相談者の喪失感をいやすことにもなるのではないでしょうか。

【まとめ】母が急逝して父の様子がおかしく、このまま認知症になるのではないかと心配なときには?

  • 父と息子で3カ月くらいはとことん母の思い出話をする
  • 睡眠障害を起こしている可能性があるので、睡眠について父に確認する
  • 3カ月くらい経っても様子がおかしければ、かかりつけ医に相談する

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