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両親と親類の計4人を介護 1人では抱えきれません【お悩み相談室】

台所に立つひと、Getty Images
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介護福祉士、介護支援専門員の山城裕美さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。

Q.80代の両親と同居しているうえに、近所に住む子どものいない叔父夫婦の面倒も見ていて、病院の付き添いや買い物の送迎などをしています。叔父は認知症のような症状もあるので、施設に入居したほうがいいと思うのですが、叔母は気がすすまないようで困っています(54歳・女性)

A.相談者は、やさしい方なんですね。だからこそ、両親だけではなく叔父夫婦も相談者に頼っているのだと思います。ただ今の状況だと、相談者1人が何もかも背負って、がんばっている印象を受けます。もし相談者が倒れてしまったら、今よりもっと困る状況になるのではないでしょうか。

叔父に介護が必要になれば、施設に入居を、と考えるお気持ちはよくわかります。けれども、現在は介護に関するさまざまな選択肢があります。公的な介護保険サービスはもちろん、自治体やお住まいの地域独自のサービスもありますので、うまく利用すれば施設に入居しなくても、相談者の負担は軽くなるはずです。叔母の希望通りに、叔父も自宅で過ごすことができます。

公的な介護保険サービスとして、デイサービスやショートステイなど自宅から通ったり泊まったりするサービスを利用するのも一つの方法です。また、小規模多機能型居宅介護施設のように、「通い」「訪問」「泊まり」を柔軟に組み合わせられるサービスも利用しやすいかもしれません。小規模多機能型は、どのサービスを利用しても、ケアするスタッフが同じなのも利点です。

まずは自治体が独自に実施しているサービスだけを利用してみる、というのもいいと思います。いずれにしても1人で抱え込まず、両親や叔父夫婦に相談したり、手伝ってもらえそうなことがあれば役割分担したりして、協力しあうことが大事です。

叔父に「認知症のような症状がある」とのことなので、まだ認知症と診断されたわけではないのかもしれません。早めに診断を受けるほうが、適切な対応ができ、進行をゆるやかにできる可能性がありますが、認知症と診断されると本人や家族がショックを受けるのも事実です。その点を叔母とよく話し合って、受診を検討するといいと思います。

今後両親や叔父夫婦がさらに高齢になると、介護の必要度も上がり、相談者1人で面倒を見るのは限界がくると思います。今のうちにチームで4人の面倒を見ていけるような体制を整えておけるといいですね。

【まとめ】高齢の両親と叔父夫婦の面倒を1人で見ていて、困っているときには?

  • 介護保険サービスや自治体や住まいの地域独自のサービスを利用する
  • 病院の受診や介護について家族で話し合い、1人で抱え込まない

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