認知症の父が便秘で救急車!予防のためにはどうすれば【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
介護福祉士、介護支援専門員の山城裕美さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。
Q.認知症の父(81歳)と同居しているのですが、先日トイレで倒れました。原因は便秘によっていきんだため、血圧が低下したようです。なるべく便秘にならないようにするためには、どうすればいいですか?(55歳・男性)
A.高齢の方がトイレでいきんで倒れるケースは、よくあります。家族が驚いて救急車を呼ぶこともあるようです。できればそうなる前に便秘に気づいたり、便秘を予防できたりするといいですよね。
便秘に悩む高齢者は多いですが、特に認知症になると、便意を自覚しにくい、または自覚しても伝えられないという傾向があります。ただ、よく観察していると、便意があるときには態度やしぐさで、何かしらのサインで伝えることが多いようです。サインは人によってさまざまなのですが、便意をうまく表現できなくて、イライラしたり、機嫌が悪くなったり、上半身が揺れる、ひざをたたく、目が泳ぐ……。こうしたタイミングで「トイレに行かれますか?」と声をかけるとスムーズに排便できることがあります。相談者もお父さんの便意のサインを見つけられるといいですね。
便秘の原因はさまざまですが、その1つに水分摂取量の不足があります。高齢の方はなかなか水分をとらないんですよね。「のどが渇かない」とおっしゃる方もいますし、トイレが近くなるのも心配なようです。私が勤める施設でも、いろいろな工夫をしています。「お茶をどうぞ」とすすめても、少し口をつける程度で量を飲まないので、200gくらいのゼリーを「デザートです」と言って出すと、割と食べてもらえます。飽きないように毎日味を変えるほか、汁物を出すなど食事からもなるべく水分をとれるように工夫をしています。
腸を刺激するために体操やストレッチもおすすめです。なかなか1人ではできないと思うので、家族で一緒にできるといいですね。
便秘を解消するには、下剤も効果があるとは思いますが、認知症になるとおなかの痛みを訴えられずに間に合わないといったこともあります。なるべく食事や運動で便秘を解消できるといいですね。それでも難しい場合は、市販薬を使用するのではなく、医師に相談して腸の状態を診てもらったうえで下剤を処方してもらうようにしましょう。
【まとめ】認知症の父が便秘にならないようにするには?
- 便意のサインを見つけて、トイレに行くように声をかける
- 水分をあまりとらないときは、ゼリーや汁物などから水分をとれるようにする
- 食事や運動で便秘が改善しなければ、医師に相談する