隣の芝生は青いもの 百点満点の介護なんてない 頑張るあなたに花丸を
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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あの家族がうらやましい。
みんなで支えあって介護をし、
励ましあって。
それに比べて、私ときたら。
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恥ずかしいほどの、未熟者。
笑えないし、怒ってばかり。
どんどん自分が嫌いになる。
……でも。
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「まぁ、いいか」と口にしてみる。
気楽に、気楽に。
こんなに悩み、嘆くのは
自分なりにやってきた証しだから。
うまくいっていない時に
自分と似た状況でうまくやっている人を見ると、
落ちこんでしまう時があります。
人と比べて、更に自分を追い込んでしまう悪循環。
特に日常に介護があると、悩みは尽きません。
ただ、私が訪問介護員になり、
多くのご家庭に入らせて頂き、
ほっとしたことと言えば
「どの家庭の介護も、百点満点ではない」
ということでした。
不謹慎かもしれません。
でも、私はそこに慰められたのです。
それぞれにとりつくろいながら
図太く生きている人の姿は、
「介護なんて、不完全で当たり前」
を私に教えてくれました。
だから、
今日もなんとかやっているご自身には
せめて、お気持ちの上だけでも
花丸を。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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