良くならなくても続く通院 カフェでひと息 珈琲一杯を希望につなげる
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
![物忘れ外来「やっと終わった・・・」パタン](http://p.potaufeu.asahi.com/9b10-p/picture/26680200/aa4762f0df35cfd83206cf148cf3bacf.jpg)
今月も夫に付き添われて、受診が終わった。
「お変わりないですよ、また2カ月後に」
やさしい医師の言葉に、
ほっとするような、歯がゆいような。
![カフェの入り口](http://p.potaufeu.asahi.com/96f9-p/picture/26680203/ed11ad42c6f4d830a8db68b3b47ce4d9.jpg)
毎回、受診後はどっと疲れが出る。
早くベッドに入りたい。でも、
「休んでいこうか」
病院併設のカフェに誘われた。
![コーヒーを飲む夫婦](http://p.potaufeu.asahi.com/ee08-p/picture/26680204/cefc4bdf6b6546aa700628e76d08d3b4.jpg)
今日の頑張りに、お疲れ様の珈琲。
ここまでやってきたね、と夫の笑顔。
またひと息ついて、明日へ。
ある人の通院に、毎回付き添っていた時のこと。
物忘れ外来での診察が終わった後、
その人は必ず、院内のカフェで珈琲を飲みました。
「通院のいちばんの目的は、珈琲を飲むことなの」
そう冗談めかす、当人の内心はどうだったのでしょうか。
医師から「快方に向かっています」とは、
なかなか告げられることがない認知症。
本人にとって毎回の受診は、
気楽なものであるはずがありません。
それでも、自分を明るい方へもっていく。
珈琲をおいしそうに飲む、その姿に
私はいつも頭が下がる気持ちでした。
そしてその人の毎日は、
症状で困ることがあっても、
最期まで穏やかな笑顔であふれていました。
私たちは誰もが、
老いへ向かっていくひとりです。
その時、珈琲一杯に、
希望を見つけられるでしょうか。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
![](http://p.potaufeu.asahi.com/nakamaaru/img/nakamaaru450_450.gif)