今日は晴天、ぼけ日和

良くならなくても続く通院 カフェでひと息 珈琲一杯を希望につなげる

《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

物忘れ外来「やっと終わった・・・」パタン

今月も夫に付き添われて、受診が終わった。
「お変わりないですよ、また2カ月後に」
やさしい医師の言葉に、
ほっとするような、歯がゆいような。

カフェの入り口

毎回、受診後はどっと疲れが出る。
早くベッドに入りたい。でも、

「休んでいこうか」
病院併設のカフェに誘われた。

コーヒーを飲む夫婦

今日の頑張りに、お疲れ様の珈琲。
ここまでやってきたね、と夫の笑顔。

またひと息ついて、明日へ。

ある人の通院に、毎回付き添っていた時のこと。

物忘れ外来での診察が終わった後、
その人は必ず、院内のカフェで珈琲を飲みました。

「通院のいちばんの目的は、珈琲を飲むことなの」

そう冗談めかす、当人の内心はどうだったのでしょうか。

医師から「快方に向かっています」とは、
なかなか告げられることがない認知症。
本人にとって毎回の受診は、
気楽なものであるはずがありません。 

それでも、自分を明るい方へもっていく。
珈琲をおいしそうに飲む、その姿に
私はいつも頭が下がる気持ちでした。

そしてその人の毎日は、
症状で困ることがあっても、
最期まで穏やかな笑顔であふれていました。 

私たちは誰もが、
老いへ向かっていくひとりです。

その時、珈琲一杯に、
希望を見つけられるでしょうか。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

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