診断後の「大丈夫」は本当の心の声? 一人にせずに声をかけ続けて
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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認知症と、診断を受けた
その人は言った。
『大丈夫』
デモソレハ、ホントノココロカナ?
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本当につらい時、人は
消え入りそうな心を見せない。
ひとり、霧の中へ。
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だから声を。
あなたの声が、
霧の中のその人を
振り向かせるから。
認知症に限らず、病の診断を受けた直後のショックは計り知れません。
そんな時も成人した私たちは、子どものように泣きわめけず、
逆にぼんやりとした
無感覚な状態に陥りがちです。
しかも同時に、周りへの気遣いができるほど優等生になったりもします。
もしかしたら周囲は、
それを落ち着いた状態と見るかもしれません。
が、その時こそ一人にさせてはいけない、と
私は思っています。
なぜなら人は心が弱れば誰だって、
普段のその人なら望むはずもない
思いがけない行動に出ることもあるからです。
声をかけ続けることです。
人の声は、人を日常にひき戻します。
それは霧の中でさまようその人の、命綱になります。
励ます必要はないし、
日常のなんてことのないあいさつをしあうだけでもいいのです。
人は弱くもなりますが、
それをくつがえすほどの強さがあると
私は信じています。
だから信頼して、声をかけながら。
その人の新たな旅路を
せめて見守りたいものです。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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